オンラインでの誤情報やフェイクニュースの拡散は、公共の福祉に危険な影響を及ぼす。誤情報との闘いは困難で、大統領選挙前にPew Researchが実施した調査によると、米国人の73%は主要テック企業がプラットフォームの悪用を防ぐ能力についてほとんど、あるいはまったく信用していないという。ブロックチェーン技術を使ってオンラインコンテンツの信憑性を守るオープンソースのStarling Framework for Data Integrityが公開され、写真やビデオの「出生証明書」を作成して変更をすべて追跡できるようになっている。Startling Frameworkの共同作成者が台北を拠点に創業したスタートアップのNumbers Protocolは、この技術を商品化して幅広く普及するよう取り組んでいる。
Numbersは現在、CESの台湾テックアリーナパビリオンでブロックチェーンカメラアプリ「Capture」を紹介している。このアプリはApp StoreとGoogle Playストアからダウンロードできる(訳注:本稿日本語記事公開時点で、日本のApp Storeでは未公開)。
ジャーナリズム、特に市民ジャーナリズムがCaptureアプリのユースケースであることは明らかだが、オンラインで共有されている画像は自分が作ったものだと証明したい人にとっても有効だ。Numbersはこのアプリにビデオカメラ機能などを追加していく予定だ。
Captureアプリケーションで撮影した写真には、ブロックチェーンで証明されシールされたメタデータが付加される(ユーザーが正確な位置情報を共有したくないときなどにはプライバシーの設定を変更できる)。その後は、誰かが編集ソフトで編集するなど写真に変更が加えられると追跡され記録される。
共同創業者のTammy Yang(タミー・ヤン)氏はTechCrunchに対し、Numbersはアプリにビデオ機能を追加し、また証明済みコンテンツを公開できるチャンネルを開設する計画で、情報産業を変えることを目指していると語った。
Numbersを始める前、ヤン氏はスタンフォード大学と南カリフォルニア大学ショア財団の取り組みであるStarling Frameworkに携わっていた。ショア財団は大量虐殺や大規模な暴力から生き延びた人々の証言を保存しており、Starling Frameworkのテクノロジーは写真とビデオの保護のために開発された。Starling Frameworkは2020年3月の米国大統領予備選挙の際に、ロイターのジャーナリストが写真の撮影、検証、保管をするのにも使われた(Starling FrameworkにはFilechain、Hala Systems、Protocol Labsも協力している)。
デジタル一眼レフカメラやAdobe Photoshopなどのソフトを利用しているフォトジャーナリストが多いため、Starling Frameworkはショア財団およびロイターと協力してそのテクノロジーを両者のワークフローに統合した。Captureアプリはこのテクノロジーを幅広く使えるようにするために開発された。
ヤン氏は、フェイクニュースや誤情報によって写真の完全性を確保する必要性が一般に認識されるようになったと語る。ブロックチェーン技術を使ってデータやコンテンツを保護する企業は他にもあるが、Numbersは撮影された時点で写真を証明しその後のすべての変更を記録し続けることに的を絞っている。
「我々はカメラそのものに着目しているので、写真を撮影した時点ですでに完全性が確保されています。カメラアプリで写真を撮影し、その写真がコンテンツプラットフォームにコピーされたら、出所を証明するのは極めて難しくなります。Facebookから写真を持ってきてブロックチェーンに登録しても意味がありません。Captureアプリで撮影すれば即座にブロックチェーンに登録される点がまったく異なります」とヤン氏は述べている。
カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Numbers Protocol、写真、CES 2021
画像クレジット:d3sign/Moment / Getty Images
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(翻訳:Kaori Koyama)