写真編集アプリメーカーのVSCOが、ライバルのPicsArtを相手に裁判を起こした。訴えは「VSCOのフィルターからリバースエンジニアリングされた」と思われるPicsArtの19のフィルターに関するもので、嘘を広告し、PicsArtアプリの利用規約に反しているなど法的に問題だとVSCOは強く主張している。
「VSCOは自社の貴重な知的財産となっているプリセット(別名フィルター)の開発に多大な時間と資力を費やした」とVSCOは書いている一方のPicsArtは声明でVSCOの主張を否定した。
VSCOは直接の競争相手ではないが、明らかに彼らはPicsArtを脅威と感じている。VSCOの主張は全く根拠がない。我が社に対してこのような偽りの主張をしたというのはまったく残念だ。PicsArtはこうした根拠のない主張に対して毅然として正当防衛を行い、あらゆる手段を検討する」。
具体的にVSCOは、PicsArtの従業員少なくとも17人がVSCOのアカウントをつくり(おそらく競争行為としては一般的ではない)、彼らはフィルターをリバースエンジニアリングするためにそうしたアカウントを使用した、と主張している。これは、「ユーザーはVSCOコンテンツから生じた派生的な作品の販売、認可、貸し出し、修正、流通、コピー、複製、トランスミット、掲示、公演、出版、改造、編集、創作を行わないことに同意する」と定めている利用規約に反しているという。
加えて、PicsArtはPicsArt Goldサブスクリプションのフィルターを「唯一」「Goldユーザーだけ」などと表現することで虚偽の広告を展開しているとも訴えている。
なぜVSCOは、PicsArtのフィルターがVSCOのものをベースにしていると確信しているのだろう。その理由が訴状に書かれている。
VSCOのカラーサイエンティストは、PicsArtが公開している少なくとも19のプリセットが事実上、VSCOのアカウントでしか手に入らないVSCOのプリセットと同一であると結論づけた。具体的に言うと、そうしたPicsArtのフィルターは、VSCOのものより2つのCIEDE2000ユニットより少ないMean Color Difference(MCD)となっている(いくつかのケースでは2つのユニットよりはるかに少ない)。フィルター間のわずか2つのCIEDE2000ユニットというMCDは人の目ではわからず、偶然やマニュアルでの近似でできるものではない。そうしたことから、PicsArtはVSCOのアプリにアクセスするのに従業員のVSCOユーザーアカウントを使わなければ、PicsArtとVSCOのフィルターの類似性をそのようなレベルにできず、VSCOのプリセットをリバースエンジニアリングした。
また訴状では、VSCOの弁護士が2月に、VSCOからリバースエンジニアリングしたりコピーしたりしたフィルターを特定して削除するよう求める手紙をPicsArtに送ったことも記されている。この手紙では「そうしたフィルターによる売上高と収益の計算」と、VSCOのアカウントを作った従業員を特定することも求めている。
VSCOの話では、その後PicsArtは「期待よりもよくなかったフィルターの取り替えと、その他の修正をしている最中だ」と答えた。ここには疑いの19フィルターが含まれていたが、そのうち17のフィルターのみが削除された。そして推定では、「新しいフィルターの2つがVSCOが所有するプリセットからのリバースエンジニアリングと類似している」とのことだ。訴状ではまた「VSCOが要求した情報もPicsArtは提供しなかった」としている。
VSCOは具体的な額を訴状に記していないが「VSCOのフィルターを使ってPicsArtが得た利益に相応するもの」と、差し止め請求権、損害補償、「是正広告の費用」を要求している。
訴状の全文は下で閲覧できる。
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(翻訳:Mizoguchi)