Update: 打ち上げは成功。すべてのペイロードは予定軌道に投入された。後は、月への着陸を待つだけ……。
初となる民間による月面着陸ミッションが、ケープカナベラルから始まった。SpaceXのファルコン9ロケットはSpaceILの着陸機「Beresheet」を搭載し、2月22日5時45分(太平洋時間)に打ち上げたのだ。
この打ち上げは、着陸機だけのものではない。実際に着陸機は副ペイロードで、主ペイロードはインドネシアの通信衛星「Nusantara Satu」となり、同国の遠隔地に通信網を提供する。またこれが静止軌道に到達すると、U.S. Air Force Research Labの「S5」実験衛星を分離する。S5は同高度付近の物体やデブリを追跡する。
しかし、これらのペイロードが打ち上げから44分後に分離されているころ、Beresheetはすでにその旅路を開始しているのだ。月へと着陸する遷移軌道に投入されたBeresheetは、4月に着陸を実施する予定だ。
もしこれが成功すれば、Beresheetは民間として初の月面軟着陸に成功することになる。これまでロシアやアメリカ、中国が月面着陸に成功し、他国は月を通過したり周回したりするにとどまったが、Beresheetは月面への軟着陸と写真撮影を達成する予定だ。
もともと、Beresheetの計画はGoogleが資金を提供し、達成チームなしで終わった「Lunar Xprize」のものだった。レースは各チームの準備が整わずに失敗に終わったが、参加チームのいくつかは独自の月探査計画を開始している。
約1億ドル(約110億円)のBeresheetのプロジェクトは史上最も廉価な月面着陸ミッションで、初となる民間開発のロケットにより打ち上げられ、民間企業の仲介により副ペイロードとして搭載され実現した。もし成功すれば、初めてづくしの計画だ。
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(翻訳:塚本直樹 Twitter)