11月16日、17日の2日間にわたって渋谷・ヒカリエで開催予定のテック・イベント「TechCrunch Tokyo 2017」に、Facebook傘下のボットAI開発スタートアップ「Wit.ai」のAlexandre Lebrun(アレクサンドル・ルブリュン)氏に来日して登壇いただけることになったのでお知らせしたい。
スタートアップとしてのWit.aiの軌跡はお手本のような見事さだ。
ルブリュン氏はフランスの名門理系大学エコール・ポリテクニークで情報科学を学び、Wit.aiの創業以前にもパリで1社起業して売却した実績をもつシリアルアントレプレナーだ。VirtuOzという2002年に創業した最初のスタートアップも音声AI関連で、「エンタープライズ向けSiri」を作っていたという。2005年には200万ドルを調達して2007年に黒字化。サンフランシスコに移って2008年にシリーズBで1140万ドルを調達。その後、2012年に音声関連プロダクトで知られるNuanceにM&Aされている。
そのルブリュン氏がWit.aiで取り組んだのは、Siriのような会話サービスをアプリなどに埋め込むための開発者向けのサービス。以下の例のように自然言語による問いかけや命令について、その「意図」と「操作対象」などを因数分解するかのように抽出して、シンプルで正規化されたデータにして返してくれるAPIベースのボットエンジンを提供していた。
Wit.aiは2013年4月創業で、名門アクセラレーターY Combinatorの冬バッチ2014に参加。デモデイの直後にはAndreessen Horowitz、NEA、SV Angelなどから300万ドルを調達し、その9カ月後の2015年1月にはFacebookにM&Aされている。創業からわずか18カ月。いずれ、多くの開発者がボットをアプリに組み込む時代が来る、そのときに開発者全員がエンジンを開発する必要はないから、APIベースでエンジンを提供するという狙いが当たった形だ。Facebookによる買収時には6000の開発者が利用するプラットフォームに成長していたという。残念ながら2017年夏には、今後(2018年中)ボットエンジンのサービスを停止すると発表しているが、Facebook Messengerというプラットフォームに吸収される形で技術が活かされることになるようだ。
ルブリュン氏のセッションでは聞き手をサンフランシスコをベースに、米国のテックスタートアップへの投資を行うScrum Ventures創業者でゼネラルパートナーの宮田拓弥氏にお願いしている。宮田氏はこれまで、Mobility、Fintech、IoT、VR、コマース、ヘルスケアなど50社を超えるスタートアップに投資を実行している。宮田氏自身、日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業し、事業売却の経験のある起業家でもある。
TechCrunch Tokyoのセッションではルブリュン氏の起業家としての創業物語と、Facebook傘下でボットAIの現状と未来の話が聞けるものと思う。
TechCrunch Tokyo 2017は一般価格4万円のところ、本日夜いっぱい(10月末)までは前売りチケットは割引価格3万円で販売している。5名以上で参加予定の方は、1枚あたりの価格が2万円になるお得な団体割引もある。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。