VRコンテンツに連動して匂いを出すデバイス「VAQSO VR」を手がけるVAQSOは、早稲田大学系のベンチャーキャピタル「ウエルインベストメント」から、総額約60万ドル(6400万円)の資金調達を実施。これに合わせ、法人向け匂いVRコンテンツの受託制作サービスを開始しました。
「VAQSO VR」は、PlayStation VRやHTC Vive、Oculus Riftといった市販のVRヘッドセットにマグネットで固定する、匂いVRデバイスです。サイズはお菓子のスニッカーズ程度。完全ワイヤレスな点も売りで、VRマシンとはBluetooth LEを使って連携します。
匂いが出るタイミングは、VRコンテンツと完全同期。例えば「銃を撃って何秒後に火薬の匂いがを出す」といったことも、開発者が自由にプログラミングできます。プロトタイプ版では1台に3種類の匂いを搭載することが可能。カートリッジは自由に交換でき、匂いを入れ替えることもできます。
VAQSOは、5月上旬に開催されたUnityイベントに「VAQSO VR」を出展。VRアダルトゲームの「VRカノジョ」とコラボした、女の子の匂いのするVRを展示していました。
「ブースはかなり大盛況で、開始1時間で整理券がなくなるという現象が起きたほどでした」と、VAQSO 代表取締役社長の川口健太郎氏は語ります。
匂いVRコンテンツを受託制作
VAQSOは、今回の資金調達に合わせ、匂いVRの受託制作サービス「匂いVR制作」を本日(6月22日)開始します。これは、匂いと連動したVRコンテンツの制作を受託するもの。広告代理店やゲーム制作会社、映像制作会社などからの注文を見込みます。例としては、食品メーカーのプロモーションや、災害時救出シミュレーションなどで、匂いで臨場感を増したコンテンツを制作できるといいます。
女の子と手を繋いで散歩するVR、ビッグサイトに展示
東京ビッグサイトで6月28日〜30日に開幕する「先端コンテンツテクノロジー展」。ここでVAQSOは、大手映像制作会社のAOI Pro.と共同で、”彼女と手を繋いで散歩できるVR”を出展。散歩するシチュエーションに応じ、森の中なら「土の匂い」、海なら「磯の香り」といった具合に、嗅覚に訴えかけるVRを体験できるとしています。
また、「VRカノジョ」のイリュージョンとも再度コラボ。VAQSO VRを使った匂いVRのハッカソンを共同開催します。場所は都内で、応募はすでに定員に達しているといいます。
2016年から急速に盛り上がりを見せているVR。VRアミューズメント施設が続々とオープンするなど、2017年に入ってもその熱気が冷める気配はありません。一方で、視覚や聴覚の臨場感はあるものの、触覚や嗅覚面はほぼ手付かずの印象。VAQSO VRの登場で、匂いの臨場感向上にも期待したいところです。
Engadget 日本版からの転載