医師にリアルタイム相談できる「小児科オンライン」、在シンガポール日本人も利用可能に

shoni

2016年11月開催のイベント「TechCrunch Tokyo 2016」。そのメインコンテンツである、創業3年未満のスタートアップ限定のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」で見事優勝したのが、遠隔医療相談サービス「小児科オンライン」を提供するKids Publicだ。同社は1月に入り、ニチイインターナショナルクリニックと連携。シンガポール在住の日本人家族向けにサービスを開始した。

小児科オンラインは、現役の小児科医師にリアルタイムで医療相談ができるサービス。平日の午後6時から午後10時までの間、事前に予約した時間に、LINEやSkype、電話など好みの手段を通じて相談ができる。料金は月額3980円。初週は無料で、クレジットカードでの支払いにのみ対応する。なおあくまでサービスが対応するのは医療相談のみ。医療行為は行わない。

サービスを提供するKids Publicは2015年12月の設立。代表取締役の橋本直也氏は小児科医として都内のクリニックで働くかたわらで起業した人物だ(厳密には小児科医になってから大学院に入り公衆衛生学を学んだ上での起業)。2016年にはOpen Network Labの起業家育成プログラム「Seed Accelerator Program」の第12期にも参画した。

Kids Public代表取締役の橋本直也氏

Kids Public代表取締役の橋本直也氏

橋本氏は「いくつかのメディアで、虐待を受けた子どもに出会ったことが起業のきっかけだと話したが…」とした上で、若い世代の親の子どもの健康に関する不安が、「取り残されている」状況であると説明。そういった親の負担を減らしたいという思いがあったと語る。

個人向けサービスとしてスタートした小児科オンラインだが、現在は法人向けのサービス展開を強化している。富士通では福利厚生制度としてサービスを導入。また、マルハン健康保険組合は医療費適正化を目指して試験的にサービスの導入を開始した。

そんな小児科オンラインの今回の取り組みだが、在外日本人向け病院・クリニックとの連携の最初の事例となるという。日中にクリニックを受診(現地人医師による日本語診療)した日本人が、クリニックが閉じている時間帯に生じた子どもの健康に関する質問について、小児科オンラインを通じて無料で日本人小児科医に相談できるというもの。

現在、海外で生活する日本人は約130万人(2015年時点、外務省領事局政策課)。その中には子どもの健康に不安を持つ親も少なくない。これに対して「海外にいても日本人医師の説明を受けたい」というニーズを満たすことで、世界中どこにいても日本人家族は子育てにおいて孤立しない社会を実現したいとしている。

サービスのイメージ

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投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。