即時買い取りアプリ「CASH」などを提供するバンクは11月20日、同社がCASHを通して買い取ったアイテムを購入できる法人限定のオークションサイト「CASH Mall(キャッシュモール)」を開始すると発表した。
CASH Mallでは、毎日0時から翌日23時までインターネットオークションが開催され、すべてのアイテムが100円からスタートする。オークションには常時300のアイテムが出品され、毎日そのアイテムリストは更新。翌日のアイテムリストは前日までに公開されるという仕組みだ。登録料、手数料、配送料などは無料。ユーザーとなるリユース事業者は、事業者アカウントの登録を済ませるだけですぐに利用できる。
新サービスCASH Mallについて、バンク代表取締役の光本勇介氏は、「約1兆6000億円の市場規模があると言われるリユース市場ですが、事業者が希望するほどリユース品を買い取れないという現状があります。だからこそ、多くのリユース企業ではプロモーションに多額の資金を使い『買い取ります!』と訴求しています。私たちのマーケットにくれば、確実に、買取りたい商材が買取りたい価格で買い取れるということを実現していく」と話す。
ただ、僕が最初この話を聞いたとき、バンクはCASHを通してアイテムを買い取ったものはいいものの、それらを上手く再販売できずに在庫が溜まってしまっているのではないかと思った。バンクにとってはアイテムの再販売がマネタイズポイントであり、アイテムを再販売できずに在庫として溜まればキャッシュフローが滞る。だから、買い取った品を大量に“処分”できる低価格なオークションマーケットプレイスを作らざるを得なかったのではないかという疑問だ。
それについて光本氏は、「大口のアイテムは今でも、そしてこれからも私たちが特定の大手事業者と取引します。しかし、CASH Mallでは私たちがカバーしきれない、大量にいる小規模事業者や個人のセドラーなどにもリーチして再販売するためのマーケットプレイスになる」と話した。それに加えて、光本氏は“ある光景”を変えたいからこそCASH Mallを作ったのだと強調した。
今回取材で、光本氏はリユース事業者がアイテムを競り落とすオークションの様子を映した動画を観せてくれた。小さな会議室ほどのスペースに所狭しと並べられたイスと机に事業者が座り、前方にはオークション主催者が立っている。部屋の壁には10個ほどのモニターが設置され、オークション主催者の手元にあるアイテムが映し出される。主催者が競りを開始すると、事業者が一斉に手のひらを使った合図で競りに参加する。そんな光景がその動画には映し出されていた。
僕は実際にオークションには参加したことがないので、アナログのやり方にはそれなりの良さがあるのかもしれないが、その動画を観て2008年くらいにタイムスリップした気持ちになったのは確かだ。取材の中で光本氏がベンチマーク先としてあげていたのが、自動車業界で近代的なオークションシステムを運営するUSS。つまり”今の時代の当たり前”をモノのリユース市場にも持ち込みたいと考えたのだ。
「いまの時代に合わせた、2次流通業界の企業がネットでモノを簡単に仕入れられるサービスを作り、CASH Mallを「モノ版USS」と呼ばれるようなマーケットプレイスにするのが一番の理想です」(光本氏)