古着情報メディア「古着女子」を運営するyutoriは5月30日、エウレカ創業者の赤坂優氏、クラウドワークス元CFOの佐々木翔平氏、フリークアウト・ホールディングス代表取締役社長の佐藤裕介氏から、エンジェルラウンドで資金調達を実施することを明らかにした。調達金額は公開されていない。
古着女子は、おしゃれに古着を着こなす女性をピックアップして紹介する、Instagramアカウントだ。開設から5カ月でフォロワー10万人を突破、月間のいいね数は50万を超え、現在もフォロワー数は月1万人ずつ増えているという。
yutori代表の片石貴展氏はアカツキ出身。高校時代から古着がずっと好きだった片石氏が、趣味の延長線上でInstagramのアカウントを作成したところ、思ったより反響が大きく、4月にサムライインキュベート出身の副代表・松原俊輔氏らと合同会社を設立した(資金調達にともない6月26日に株式会社へ改組予定)。
事業は自己資本で進めるつもりだった、という片石氏。今回のラウンドに参加した投資家について「エグジットありきではなく、事業に共感し、投資してもらえた」と話している。
6月7日には古着をテーマにしたECサービスのリリースも予定しているyutori。「古着はそもそも1点もの。大量生産・大量破棄でなく、1着に物語を込めて扱っていく。時代とは逆行しているが、古着の持つ本質的な価値に出会えるサイトにしていきたい」と片石氏は語る。
yutoriでは今後、下北沢エリアをキーにメディアと連動したポップアップ出店の準備も進める。またネット通販だけでなく、古着を通した人との出会いづくり、リアルなコミュニティ運営にも力を入れていくという。
コミュニティ運営については、古着屋さんと自身の関わり方が原体験となっている、と片石氏は述べている。「古着屋さんというのは特殊な場所で、服を買うのより店員さんと仲良くなるのが先にあって、結果として服を買っているようなところがある。そういったコミュニティやリアルなつながりの原点となる体験を、古着屋にあるそのままの形ではなくて、Instagramなどで広めたくなるような場として作りたい」(片石氏)
さらに「古着が好き、という子にとって、クラスに同じような格好をしている子はそんなにたくさんいない。マイノリティであることは、ある種大変なこと。そうした古着好きの子が『私たち間違ってないよね』と確かめ合える場所でもありたい」とも片石氏は話す。
下北沢をキーエリアとするのは「yutoriや古着女子の持つ世界感と合っているから」と片石氏。「下北沢はプラスの部分を大きく見せる原宿系とも違い、日常的で、いいところも悪いところも含めて表現しているところがある。そんな下北沢カルチャーを巻き込んで、世の中に存在感を放っていければ」と語っていた。