週明けを迎えると、誰しもが暗い気分になるものだ。そこでわたしたちは硬い床でつるつる滑る子犬や手を繋ぐラッコ、あるいは跳ねまわったり、壁をよじ登るロボットなどの動画を見て、心に元気を注入するのだ。今回紹介するロボットも、驚きと元気を感じさせてくれそうだ。
ロボットの名前はThe Minitaurで、もともとはペンシルバニア大学の研究プロジェクトとして生まれたものだ。そこからGhost Roboticsというスピンオフ企業が誕生し、商用利用の可能性を探っているところだ。足の動きを「ダイレクトドライブ」にしているところが新しい。すなわち変速機やスプリング、パワージョイントや減速機などを介さずに、モーターと脚部を直接に接続しているのだ。
そんなことをしては、なめらかな動きが実現できないだろうと考える人が多いだろう。ジョイントやギアを使うことで姿勢を細かに制御したり、あるいは衝撃を吸収することができるようにしているからだ。しかし開発を行ったGavin KenneallyとAvik Deは、モーター自体に周辺機器の機能を担わせることにした。上の写真やビデオにある三角形の足で、跳ねたり走ったりする際に生じる力を予測する。そしてモーターの動きで衝撃をコントロールするようになっているのだ。スプリングやショックアブソーバーを搭載しているような動きに見えるが、この動きはソフトウェアにより実現されているものなのだ。
小走りに動きまわったり、全力疾走したり、あるいはジャンプしたり回転したり、さらには階段を登ったりもする。そのそれぞれでダイレクトドライブとは思えない動きをみせてくれる。このMinitaurにはハイスピードカメラおよびセンサーが搭載されていて、周囲の状況を正確に判断するのに役立てている。たとえばドアを開ける際には、まずドアノブに向かってジャンプするようなことまで行うのだ。
KenneallyはIEEE Spectrumで次のように述べていた。
後ろ足を跳ねあげて逆立ちをします。そしてジャンプして、左足にドアノブが触れるのを検知します。すなわち足が「触角」のような働きもするわけです。触覚はすべてモーターで検知しており、接触を検知するためのセンサーは搭載していません。ドアノブに触ったことを検知した瞬間に足を引いてドアノブを動かすのです。そして足を元の状態に戻すのです。こうした動きの一切はミリ秒単位で行われます。動きを目で確認することはできないほどです。ドアノブを動かしたのではない方の足も空中にあるわけですが、これでドアを押し、回したノブがただもとに戻ってしまうようなことがないようにしています。もちろんこの動きは逆立ち状態にある自分自身を元の姿勢に戻すのにも役だっています。姿勢が元に戻り始めたら足は折りたたんで、着地姿勢をとるようになっています。
なかなかクールな仕組みのように思える。なんとなく人に対する戦闘要員のように見えないかと言われればそんな気がしないでもない。そう思ってみていると、だんだん不気味にも見えてくる。
しかしそんな心配をしなくてはならないのは、まだ当分先の話だろう。今のところは、このMinitaurが元気に動きまわる様子を微笑ましくみておけば良いのだと思う。研究者の方や、ロボット大好きな人たちは、ぜひこのロボットを手元におきたいと考えるかもしれない。現在のところの価格は1万ドルあたりだとのことだ。生産台数が増えることになれば、もちろん価格は下がっていくことになるだろう。高額なアクチュエーターやギアを用いていないのも、低価格化の一因となり得る。
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(翻訳:Maeda, H)