これまで商業衛星は事実上使い捨てだった。数トンもある10年以上稼働する巨大衛星でさえ、いずれは燃料が切れて大きな宇宙ゴミになるか、何らかの機会的故障によって終末迎えることになる。Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)が開発し、ロシアのソユーズに乗って米国時間10月9日に打ち上げられた新しい宇宙船が、それを変えるかもしれない。
MEV-1と呼ばれる衛星補修宇宙船は、軌道上のインテルサット901と出会い、自身の軌道修正用ロケットエンジンを使って衛星を理想的な目標軌道に戻すという特別任務を担っている。その結果、18年を経過した古い衛星の寿命を最大5年間伸ばすことができる。インテルサット901の軌道修正に成功すれば、MEV-1が推進燃料の枯渇したほかの軌道衛生にも同じことができる可能性は高い。
事実、MEV-1宇宙船自身の耐用年数15年に設計されており、ドッキングとアンドッキングを複数回実行できるので、2トン前後の地球同期衛星にドッキングして15年以上ミッション期間を延長させるとNorthrop Grummanは表明している。
これによって商業衛星は新しい時代を迎え、運用コストがさらに削減されることでスタートアップや小さな会社でも利用できるようになる可能性がある。NorthropのMEV-1は、実質的に宇宙の曳航船であり、地球同期衛星の寿命を倍増させることができる。これはもしMEV-1が複数の顧客を見つけて開発と打ち上げのコストを分散できれば、莫大なコストをかけることなく大きな利益を上げられる可能性がまだまだあることを意味している。
ほかにも衛星支援プロジェクトは進行中であり、先週TechCrunch DisruptのStartup BattlefieldでファイナリストになったOrbit Fabなどの会社は恩恵に預かるかもしれない。Orbit Fabは宇宙で衛星に燃料補給するシンプルなシステムを開発している。補給宇宙船が衛星とドッキングすることなく、繋がって燃料を補給できる方式だ。ほかにも、複数の顧客の要求に応じてモジュールやセンサーをアップグレードすることで、衛星の設計や開発、打ち上げへの投資の見返りを最大にする宇宙補給サービスが考えられる。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )