国際物流向けクラウドサービス提供のサークルインが優勝——B Dash Campピッチアリーナ

サークルイン代表取締役社長の佐藤孝徳氏

北海道・札幌市で8月3〜4日にかけて開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2017 Summer in Sapporo」。2日目最後のセッションとなったのは、スタートアップのプレゼンバトルである「ピッチアリーナ」のファイナルラウンド。約60社が集まった書類審査を勝ち抜いた14社が1日目のファーストラウンドに登壇。その中から選ばれた6社がプレゼンテーションを繰り広げた。

2日間のバトルを勝ち抜き、見事優勝を果たしたのは国際物流向けにクラウドサービスを提供するサークルインだった。SPECIAL AWARD(準優勝)はシングラー、PERSOL SPECIAL AWARDはサークルイン。登壇各社の概要は以下のとおり。

OTON GLASS

文字を認識し、自動で読み上げてくれるスマートグラス「OTON GLASS(オトングラス)」を開発。代表である島影圭佑氏の父親が脳梗塞となり、その後遺症での失読症になったことが開発の動機だという。島影氏の父親はリハビリにより回復したそうだが、現在は読字障がい者や視覚障がい者、海外渡航者など、文字を読むことが困難な人たちに向けて受注生産方式でプロダクトを提供している。

文字の認識や読み上げの処理はクラウド上で実行。20カ国語に対応しており、翻訳した内容を読み上げることも可能。2018年にはスマートフォンと連携する小型の最新版を提供予定。また、文字のログデータを利用したサービスなども提供予定。2019年には海外展開も視野に入れている。

スマートフォンでアプリを立ち上げ、カメラでかざすよりも、メガネをかけてボタンを1つ押すだけで動作するプロダクトということで、ユーザーの反応も上々だという。

ウィファブリック

BtoB向けのフリマサービス「SMASELL(スマセル)」を提供する。アパレルの不動在庫は、廃棄処分するか買取処分の業者に安価に下取りしてもらうしかなかった。メーカーはそこに時間も取られ、償却すれば環境負担も少なくない。そんな課題の解決を目指すのがSMASELLだ。在庫売買の既存市場は世界で推定10兆円規模なのだという。

このサービスでは在庫を処分したい人と買取したい人をマッチングしてくれる。価格は通常の30〜99%。価格交渉やサンプルの取り寄せといった機能も提供する。サービス開始前の事前登録者数は約50社。オープン2週間で100s社まで拡大した。また、佐川、西濃、松菱といった大手ロジスティクス事業者との連携スキームも構築。現在の出品依頼総額は20億円になっているという。

シングラー

人材分析サービス「HR Analyst」を提供する。代表の熊谷氏は10年間人材業界でコンサルティングなどに従事しているが、その中で採用の強い会社には2つの強みがあることに気付いたという。それは「採用の勘所が分かっている」ということと、「インファイトが得意(目の前の人を採用できること)」ということだという。

そんな採用戦略を実現するためには、これまで採用に強い人材(コンサルタントなど)が必要になるが、フィーも高く、その人間がいなくなると資産としてノウハウが残らないなどの課題がある。HR Analystはそんな課題を解決する。利用にはまず採用予定の人材に対してアンケートをしてもらう。するとサービス上でその人物の特徴や意思決定プロセスを分析。人材ごとに採用手法を提案してくれる。採用予定人材と社内の類似社員も表示する。

価格は月額2万9800円程度で、コンサルタントなどを雇うのに比較して訳10分の1になる。
現在はベータ版として5社に導入。今後はエンジニア特化サービスも提供していく。

Laboratik

チームのエンゲージメントを可視化するスマートボット「A;(エー)」を開発・提供。
ビジネスチャット(Slack)のボットとして動作。チャット内容を解析することで、コミュニケーションの質を判断。レポートを作成する。

コミュニケーションのレポートでは、チームの変遷や、ネガティブな感情をデータを元に分析、コミュニケーションのリーダーを調べるといった機能を提供。サービス開始から5カ月で、日米550社だ利用。8月から派産学連携でリコー、早稲田大学と共同研究を行う予定だ。価格はサブスクリプションモデルで1ユーザー1000円以下のパッケージと、大企業向けのパッケージの2種類を用意する。

キネカ

エンタメCtoCサービス「Pato」。タレント、芸能人、キャストなど登録する500人のキャスト(面接合格者のみに限定)とのマッチングを行う。条件を設定すれば、30分程度でマッチング。事前登録したクレジットカードでの決済を行う。

今後はライブ配信機能を提供。投げ銭モデルのビジネスも展開する予定だという。また今後はスマホライブに特化したタレント事務所の設立も予定する。なお風営法上の接客業務受託営業の許可が必要ではないかという質問に対しては、「合法だという判断をもらっている」としている。代表の藪本崇氏はミクシィが買収したコンフィアンザの代表。コンフィアンザは街コン事業などを展開していた。

サークルイン

コンテナ船や航空貨物便などを使った国際物流のフォワーダー(ブッキング担当者)向けの支援サービス「sippio(シッピオ)」を提供。フォワーダー向けに、見積もりやブッキング、輸送状況の管理や貿易関連の書類の作成・管理といった機能を提供する。

これまでクローズドベータ版としてサービスを1社に限定して提供してきたが、8月1日よりオープンベータ版を公開。すでに59社の利用が予定されているという。今後は10月1日に正式版の提供を予定する。

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TechCrunch Japan

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