衛星データの解析や合成開口レーダー衛星の開発・運用を行うSynspective(シンスペクティブ)は7月26日、シリーズAラウンドとして第三者割当増資による86.7億円の資金調達を実施した。2018年2月の創業からの累積調達額は109.1億円で、同社によると1年5カ月で同額の調達は宇宙スタートアップ企業として世界最速であり、日本国内では最大規模とのこと。
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今回の資金調達により同社は、SAR(Synthetic Aperture Rada、合成開口レーダー)衛星の開発・製造体制とソリューション開発を強化するとのこと。また、将来的に25機の衛星群を構築し、世界主要都市の日次観測を目指す。
同社は、衛星による観測データを活用したさまざまな事業を手がけるスタートアップ。内閣府「ImPACT」プロジェクトの成果を応用した独自の小型SAR衛星により高頻度観測を可能にする衛星群を構築。衛星から得られるデータの販売、および、それらを利用した政府・企業向けのソリューションを提供する。
SAR衛星は、自ら電波を発することで地表形状や高度・変位を測定できる衛星。通常の光学式衛星とは異なり、曇天や夜間でも地上を観測できるというメリットがある。同社よると、低コスト・小型のSAR衛星による衛星群を構築することで、天候や時間帯に依存しない観測データが広域・高頻度で取得可能になるという。
これらのデータがどのように生かされるのかは提供先次第だが、これまでにない天候や日照に影響を受けずに高頻度で取得するデータが貴重なものであるのは確かだ。
第三者割当増資引受先は以下のとおり。
- スペース・エースタート1号投資事業有限責任組合
- 清水建設
- ジャフコ
- 東京大学協創プラットフォーム開発
- 慶應イノベーション・イニシアティブ
- Abies Ventures
- みらい創造一号投資事業有限責任組合(東工大関連VCファンド)
- 三菱UFJ信託銀行
- 芙蓉総合リース
- 森トラスト
- SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合
- みずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合