大変残念だが、心配することを止めてブロックチェーンを愛することを学ばなければならないだろう

変なタイトルだ。皆さんには謝りたい。分かっている。「ブロックチェーン」と耳にすると、皆さんはすぐに「胡散臭い成金手法」だとか「魔法のイカサマインターネットマネーのバブル」だとか、「はた迷惑な自由至上主義者」だと思うことだろう。そしてブロックチェーン信奉者の1人が、なぜそれが重要なのか、なぜ新しい財閥を形成すること以上に世界を変えるのかを説明しようとしても、「いやいや、単にデータベースを使えば良いだけじゃ?」と考えることだろう。無理もない。

そう考えても間違いではない。少なくとも先進諸国では、既に銀行やクレジットカードによって扱われているものの中で、Bitcoinの方がよりよく安全に処理されるというものは多くはない。その他の大部分の暗号通貨は、(基本的に世界カジノの賭博行為に使われるものや、真に秘密で匿名こと以外はBitcoin同様であるものを除けば)基本的に規制を受けない世界的な株式市場の中の、ペニー株(投機性の高い安価で不安定な株)に過ぎないのだ。それらは技術的には素晴らしいものだが、全体概念の一般的な運用に対して、より高い信頼性を提供するものではない。

Ethereumはもっと興味深い。その「世界コンピューター」概念は受け容れるのに苦労するような代物だ。それは世界中に分散する何千ものノードに分散する許可不要の仮想マシン上で、コードを実行しデータを保存するという概念である。だが前述した株式市場やカジノに加えて、ときどきCryptoFadに使われる以外には殆ど使われることはない。そしてもし人びとがそれを本当に使いたいと思ったとしても、スケールしないために使うことはできないだろう。

全て(現在は)正しい。そして私が、ブロックチェーンが世界を支配すると言おうとしているのではないということは急いで強調させて欲しい。私は、ブロックチェーンは新しいインターネットではなく、新しいLinuxである(一部の専門家が使うもの)という立場をとっている。私は利便性や使いやすさからではなく、技術と政治的思惑によって、数パーセント以上の人たちが直接使うようになると考えるのは、楽観的な予想だと考えている。

しかし私は、代替物の存在がとても重要だと考えている。なぜなら主流のインターネット、すなわち 旧来のインターネットと特に旧来のソーシャルメディアは2つの罪によって汚染されているからだ。

1つは広告主導のメディアであるということである。これはそれ自身が不気味な存在だ。ユーザー追跡、ブラウザのフィンガープリンティング、広告リターゲティング、OutbrainやTaboolaなどのクリックベイトファーム、モバイルブラウザをクラッシュさせたり実際に見たいコンテンツの邪魔をする広告、そしてテレビコマーシャルが控え目なものに思えてくるような、自動再生広告などを私たちにもたらしている。しかし、それはソーシャルメディアにとって破滅的なものだ。なぜならそれはより多くの関わりを求めさせるからだ。そのことによって怒りやフェイクニュース、そして相手が誰であろうとも「あちら側」を敵とみなす行為がより激しくなる ―― そうした行為はより深い関わりへと繋がり、詰まるところより多くの広告収入へとつながるからだ。ソーシャルメディアの経営幹部が何を言おうとも、ビジネスモデルが広告によって動かされている限り、より多くの金、より高い利益、目標達成、そしてボーナスを獲得しようとするブラックホールが、彼らを引きずっていくことを止めることはできない。

もう1つは、メトカーフの法則や、その他の勝者総取り効果からもわかるように、単純な事実として、もし本当の最初から意識的に設計しない限り、技術というものは中央集権的になってしまう傾向があるということだ。このことによって、Facebookのバグが5000万人の人びとのアカウントを危機に晒し、多くの場合にはTinderやSpotify、その他のサードパーティのアカウントも道連れにしたことは、必然的に起こり得る状況だったのだ。なにしろFacebookはインターネットの中央集権的アイデンティティパワーとなるまでに成長していたのだから。こうした被害者の人たちは何ができただろう?どんな代替手段に切り替えることができるのだろう?もし彼らが非常に動揺し、強く決意したなら、もしかしたら別のものに切り替えられるかもしれない…他の、同じように中央集権化され、同様に広告で支えられているアイデンティティ提供業者に。だが切り替えても、それを信頼してはならない。

だからこそ、誰かの許可を得ることが不要である分散型の、広告で運営されておらず、中央集権的な大手企業が支配していない代替案が存在することが重要なのだ。そして、読者はきっとこんな話は聞きたくないと思うが、ブロックチェーンを何らかの手段、形式、方法として含むことのない、新しいファイナンスモデルを伴った分散型ネットワークを想像することは極めて困難になりつつある。これは私たち皆が、秘密鍵でいっぱいの 「ウォレット」を保持して、携帯電話やラップトップ上でブロックチェーンノードを実行しなければならないということを意味しているわけではない。最も興味深い分散化の動き(特にBlockstackなど)の中には、ブロックチェーンを非常に巧妙に用いているために、その存在に気が付くことが難しいものもある。それでも、内部ではブロックチェーンは必要不可欠なものなのだ。

だから、脊髄反射的な嫌悪感はぜひ乗り越えて欲しい。操作された市場や、狂気のカジノのさらに先を見て欲しいのだ。真に新しいアイデア(特にそのアイデアがお金に関係している場合)を最初に受け入れて擁護する少数派たちが、いびつにイカれた奴らである傾向が高いことは事実だ。だからといってアイデアそのものがイカれたものであるということではないのだ。人工的な金や、即席成金化計画よりも面白いことがここにはある。そして私は決してそれが主流になることはないと考えているものの、あらゆる大騒動(sturm und drang)とバカバカしい詐欺の向こうに、純粋に技術的、政治的、金融的、そして社会的に興味深い、代替ムーブメントが生まれつつあるのだと信じている。注意深く観察し、もう一度考えてみよう。

(訳注:この記事の原題は”I’m very sorry, but you’re going to have to learn to love the blockchain.”というものである。このタイトルが昔の映画”Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb”(邦題:博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか)のもじりであることは、冒頭の写真(映画のシーン)からも明らかである)

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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