【編集部注】著者Siri Fiskeは、メリーランド州ベセスダとワシントンD.C.にある少人数教育の学校MYSA Schoolの創設者であり校長だ。
ショッキングなNew York Timesの報道によると、我々が使うテックガジェットをデザインしたシリコンバレーのエンジニアたちは、彼らの子供にはガジェットをいつでもは使わせないのだという。こうしたエンジニアたちはスマホやiPadの長時間使用は子供の脳に悪影響を与えると信じている。Facebookの前従業員の1人は、テクノロジーは“我々の子供をダメにしている”と警告した。
こうした親はリラックスする必要がある。子どもに明け方までソーシャルメディアをブラウズさせるのは良いものではない、というのは事実だ。しかしまた、スマホやiPad、その他のガジェットが家庭と学校の両方においてパワフルな教育ツールであるということも事実だ。
全てのデバイスを悪いものとして禁止するより、親はスクリーンタイムを調整し、ためになる方法で子どもにテクノロジーを使用させるべきだろう。
シリコンバレーや世界中の高等教育を受けたコミュニティの親たちのパニックにもかかわらず、研究ではモバイル端末の使用が子どもにポジティブな影響を与えるかもしれない、としている。スイスの研究者が米国の大学を対象に実施した研究によると、親がスクリーンタイムを厳しく制限する子どもは学校での成績が悪いという。
そして迅速なフィードバックやマルチメディアの特集のおかげで、iPadは素晴らしい読書ツールとなっている。ロンドンのインスティチュート・オブ・エデュケーションの研究者によると、本だけを利用する子どもに比べ、iPadで読書をする子どもはより熱心で協力的、そして積極的に発言する。さらに本、iPadの両方で読書する社会経済的困難を抱える家庭の子どもは、学校での成績がかなり良い傾向にあるという。
スクリーンの使用そのものではなく閲覧する内容が鍵
そうした研究からわかるのは、善悪の鍵となるのはスクリーンそのものにあるのではなく、閲覧する内容にある。Cartoon Networkを2時間観るのと、National Geographicのドキュメンタリーを観るのとはかなり違う。教育的でないコンテンツの閲覧時間を制限したり、ソーシャルメディアを使用禁止にするというのは良い選択肢だ。
学校では生徒をサポートするのに授業を工夫するが、教育者はテックガジェットやアプリを使って学習プロセスをスピードアップすることができる。
初等、中等の生徒がiPadでさまざまな数学ゲームができるプラットフォームDreamBoxを考えてみてほしい。このツールは各ユーザーのためにレッスンをパーソナライズするのに1人の生徒につき1時間あたり4万8000超のデータポイントを集める。似たようなプログラムであるAlgebra Nationは、生徒がどうしたときに壁にぶつかるかを理解するためにクリックパターンを分析し、個人に合ったアドバイスを提供する。
そのような“対応性のある学習”プラットフォームはすでに高等教育においてものすごい結果を出している。コロラド工科大学では、対応性のある学習ツールの活用でコース習得率が27%、最終成績の平均が10%上がった。
教室でのテックの活用で教師はまた、問題を把握して予想する超人的な能力を獲得した。たとえば、ワシントン州スポケーンの学校では、どれくらい集中できているか、社会環境がどれくらい包括的か、どれくらいの頻度であきらめたい気持ちになるかを追跡するために生徒にオンライン調査を行う。そして教育者らは、生徒が教室内外のどういうところでサポートを必要としそうかを理解するためにダッシュボード経由でそのデータを分析する。
10年前は、学校が全ての生徒それぞれの日々の考えや気持ち、取り組んでいることなどを追跡するというのは非現実的だった。教室にテックを取り込むことでそのようなプラクティスがスタンダードになっていて、またそうなるべきだろう。
道理をわきまえていない人は、子どもが常にスクリーンにかじりつくのはいいことだと考え、人とのかかわりをアプリに置き換える。スクリーンの使用は本質的に子どもにとって有害だというのは、馬鹿げている。そろそろ教師や親は、懸念を広めるのをやめ、子どもにワールドクラスの教育を提供するのに最新テクノロジーを活用するときだ。
(原文へ 編訳:Mizoguchi)