宇宙ゴミの除去衛星を開発、アストロスケールがシリーズCで約28億円を調達

アストロスケールは、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去サービスを開発している宇宙ベンチャーだ。本日、アストロスケールはシリーズCの資金調達ラウンドで2500万ドル(約28億円)を調達したことを発表した。この調達ラウンドには既存投資家の産業革新機構、ジャフコ、三菱UFJキャピタルに加え、エースタート、ANAホールディングス、切削工具メーカーのオーエスジーが参加した。

スペースデブリとは、宇宙空間に漂っている役目を終えた衛星、ロケットの一部や金属片のことだ。現在、トラックできる大型のスペースデブリは2万個以上あり、小さものを含めるとその数は75万個以上になるとアストロスケールは説明している。

こうしたスペースデブリは秒速8kmで地球の軌道を飛んでいて、宇宙開発における課題となっている。アストロスケールはスペースデブリの除去サービスを開発、提供することで持続的な宇宙開発を促進したい考えだ。

デブリ除去衛星実証機「ELSA-d」

アストロスケールは来年初旬にも微小デブリ計測衛星「IDEA OSG1」を打ち上げる予定だ。さらに2019 年前半にはデブリ除去衛星実証機「ELSA-d」の打上げを計画している。

今回の資金調達は英国子会社の拡充に加え、グローバル市場に対応するため、マネジメント体制を強化するという。

アストロスケールは2013年に岡田光信氏がシンガポールで創業した会社だ。2015年に日本にR&D拠点を、2017年には英国子会社を設立している。アストロスケールはこれまでに資金調達を複数回実施していて、累計総額約5300万ドル(約60億円)を調達している。

アストロスケールの創業者兼 CEO 岡田光信氏は、今回の調達に関してプレスリリースに以下のようにコメントしている。

今回のシリーズ Cでは、これまでの金融投資家に加え、ASTROSCALE の取り組みに賛同する事業会社より出資を受け入れました。デブリ除去サービスは、宇宙利用の持続性確保に加え、近年高まる、宇宙空間における運行管理の議論に不可欠です。ANA の長年に渡り安全運航を堅持する知見や、グローバル市場を主導するエアライングループとしての経験を同事業へ活かしたい所存です。また、世界 33 ヶ国に拠点を構え、自動車・航空産業をはじめ、世界のものづくりを支えてきた OSG は、高品質なツールの提供のみならず、デブリ除去衛星の量産に多大な貢献をもたらすと考えています。

 

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TechCrunch Japan

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