NASA(米航空宇宙局)は、実験設備を搭載した月面着陸船モジュールを月面に運ぶために、9330万ドル(約98億4000万円)の契約をFirefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)と結んだ。Fireflyは打ち上げ自体は行わないが、2023年に予定されているミッションに対して宇宙船と着陸船「Blue Ghost」(ブルーゴースト)を提供する。
NASAは現在進行中であるCommercial Lunar Payload Services(CLIPS、商用月面ペイロードサービス)の一部としてこの契約を結んだ。このサービスにはBlue Origin(ブルーオリジン)、Astrobotic(アストロボティック)、Masten(マステン)といった、これまで主力ではなかった宇宙企業も選ばれて肩を並べている。
この契約の公募がCLIPSパートナーたちに対して行われたのは2020年9月である。Fireflyがそれを勝ち取ったわけだ。
NASAのThomas Zurbuchen(トーマス・ズルブチェン)科学副長官はこの契約を発表したリリースの中で「新しいCLIPSプロバイダーが、初のタスクを勝ち取ったことを喜んでいます」と語っている。ここ数年来、NASAは打ち上げサービスから衛星や宇宙船の製造に至るまでのすべての部門で、民間業者をますます新たに受け入れるようになってきている。
正確にいえば今回のNASAからの注文はFireflyにとっては初めてのものではない。その国家安全保障関連子会社であるFirefly Black(ファイアフライ・ブラック)が、Venture Class Launch Service Demo-2(ベンチャー・クラス・サービス・デモ2)ミッションのために2つのキューブサットを打ち上げることになっているからだ。しかし今回の契約は、比べるとはるかに大規模かつ複雑なものだ(高価なのはいうまでもない)。
これはFireflyのBlue Ghost着陸船にとって、初の月面着陸となる。同社は過去数年にわたり、月に対する新たな関心の下で準備を続けていた。BlueGhostは10個の科学実験装置を搭載する(詳細はNASAがここで説明している)が、その中にはたとえば新しいレーザー反射装置や、実験的な耐放射線コンピューターなどが含まれている。搭載されるものはたくさんあるのだが、BlueGhostはその他、月に運びたいもののために50kg分の場所を残してあるはずだ。
着陸が計画されているのは危難の海(または危機の海、Mare Crisium)である。これは月の「表側」にある盆地の1つだ。ここに送り込まれた機材たちは、将来の訪問や月面への入植に対する情報を提供するために、継続して貴重な観測や実験を行うことが期待されている。
また、Fireflyは着陸船を月面に運ぶ宇宙船を提供し、何よりもまず着陸船を地球から離陸させる責任を負うことになる。同社は私に現在そのためのオプションを評価中であると語った。2023年までには、たくさんの選択肢が生まれているはずで、実際Firefly自身のAlpha(アルファ)打ち上げ機もそれまでに稼働しているかもしれない。とはいえ同社は現時点では月軌道投入の準備は整っていない。同社は3月にAlphaの初飛行を予定している。
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カテゴリー:宇宙
タグ:Firefly Aerospace、NASA、資金調達
画像クレジット:Firefly Aerospace
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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)