グラットアンドソーレスは4月12日、実名でのアプリ情報口コミサービス「meetApps」を開始し、iOS版とAndroid版アプリの提供をスタートした。同社は自己資金でmeetAppsを開発している。
meetAppsは口コミで新たなアプリを見つけることを目的として開発されたアプリだ。特徴は2つある。1つは実名であること。もう1つはサービス利用者ごとに自分で設定した「ロール」があること。ロールというのは「エンジニア」「教師」といった職業や、「親」「ペットオーナー」などの役割のことだ。ロールの存在によって、特定の属性の人による実名のアプリ紹介を見ることができる。また、同アプリを利用するFacebook上の友達によるアプリ紹介を閲覧することも可能だ。さらに、アプリの開発者に「ありがとう」の気持ちを伝えるシステムも搭載している。
例えば利用者が小さな子どもを持つエンジニアの場合、エンジニアのロールからは仕事で役に立つアプリを、そして親のロールからは子育てや日常生活で役に立つアプリを見つけることができる。全く異なった属性のアプリ紹介をアプリ内で一度に閲覧できるのは興味深い。
また、アプリの紹介が実名で行なわれるという点も新しい。見ず知らずのユーザーによる紹介よりも、有名人や実際の知り合いがアプリを紹介している方が、アプリを試す動機としてはずっと強いものになるだろう。さらにFacebook上にmeetAppsを利用している友人がいれば自動でフォローし、友人が後から同アプリを利用すると通知がくるなどSNSサービスのような仕組みも提供している。Facebook上の友達によるアプリ紹介を閲覧することも可能だ。
従来のアプリストアのランキングによる紹介では、ランキングの上位に表示されるアプリが固定化される傾向がある。また資本投入の必要な「ブースト」などの行為が横行しており、個人が開発したアプリがランキングに登場することは極めて困難だ。さらに、ストアでは開発者がユーザーのニーズを見つけたり、フィードバックを受けたりすることも難しい。グラットアンドソーレスはこのような現状はアプリ開発者にとってもユーザーにとっても、望ましい状況ではないと考えている。
一方、meetAppsによるアプリのクチコミサービスは、思わぬ新たなアプリとの出会いを可能にしようとしている。meetAppsの開発を主導したグラットアンドソーレスCPOの星野勇夫氏は、「meetAppsはアプリのウィンドウショッピングのようなものだ。信頼できる友達のクチコミを眺めることで思わぬ気づきを提供し、それによってアプリ探しのスタイルを健全化したい」と開発の経緯を語っている。アプリ開発者とユーザーをより健全な形で結び付けたいという願いは、ゲーム業界でも働いた経歴のある同氏だからこその発想だろう。
個人的にも、最近はストアのランキングによるアプリ紹介はあまり見なくなっていた。そしてmeetAppsを実際に利用してみたところ、最近目にすることのなかった「有名ではないけれど便利な、あるいは面白いアプリ」が発見できたのも事実だ。このような無名なアプリとの出会いは、なんだかスマートフォンを使い始めた頃のワクワクを思い出させる。meetAppsが固定化したアプリの流通過程に「民主化」を起こせたら面白いと思う。