宿泊予約の権利売買サービス「Cansell(キャンセル)」を提供するCansellは3月26日、キャンセル料の保証などの特典を盛り込んだ宿泊施設向けのパートナープログラムを開始すると発表した。Cansellは本日よりプログラムの事前登録を開始し、2018年6月よりプログラムを提供開始する予定だ。
Cansellは、ホテルの宿泊予約をしたユーザーがやむを得ずキャンセルした場合、その宿泊権利を他のユーザーに売却できるマーケットプレイスだ。
Cansellのユーザーは宿泊予約の権利を第三者に販売することで、キャンセル料を払う場合に比べて費用を節約できる可能性がある。権利の購入者は通常より安い宿泊料でホテルに泊まることができ、ホテル側も通常の宿泊料金を受け取れるというメリットがある。
これまではユーザー同士だけが利用するマーケットプレイスという“場”を提供していたCansellだが、その同社がはじめて法人向けのプログラムを発表した。概要は以下の通りだ。
- パートナープログラム会員の施設で無断キャンセルが発生した場合、請求するキャンセル料の一部を保証(保証率などの詳細は2018年6月のサービスリリース時までに決定する)
- キャンセル料の保証は、リスク保証会社のGardiaとの提携により行う。キャンセルを行ったユーザーへの請求はホテルの代わりにGardiaが行い、Cansellが同社へ手数料を支払う
- Cansellの各ホテルページから、パートナーの宿泊施設公式サイトへ送客
- パートナーの宿泊施設の予約が出品され売買が成立した場合、そこで発生する成約手数料の一部を予約変更手数料としてパートナーに還元
- パートナーの宿泊施設は、TrustYou、SmartHR、BASE FOODなど、Cansellと提携しているサービスを利用優待付きで利用可能
このように、キャンセル料保証などのメリットがあるパートナープログラムをCansellが無料で行う理由は2つある。業界からの理解度の強化と、ホテル側も巻き込んだマーケットプレイスへと進化するための足場づくりだ。
元々、Cansellというサービスはホテルとの提携を必ずしも必要としないサービスだった。同サービス上で宿泊権利の売買が成立した場合、Cansellがユーザーの代わりにホテルに連絡し、宿泊名義人の変更を行うという方法を採っていたからだ。
しかし、Cansell代表取締役の山下恭平氏は「ビジネスの仕組み自体はホテルと提携しなくても可能なものだが、ユーザーへ安心・安全なサービスを提供するため、そしてこのサービスが当たり前になるためには、やはり業界からの理解は必要不可欠。長く続く、それでいてユーザーからも愛されるようなサービスを創りたいという思いから、ホテルとタッグを組む道を選んだ」と話す。
山下氏は、Cansellを単なるユーザー同士のマーケットプレイスではなく、ホテルがもつ課題の解決手段として業界に根付かせたい考えだ。その課題の一つが無断キャンセルが発生した場合のキャンセル料請求であり、それを解決するためにキャンセル料の保証という特典をプログラムに組み入れた。
また、将来的には、直前キャンセルをホテル側が出品できるというような、ホテルも利用できるサービスへ進化するという考えもあるようだが、「最終的にホテルからの出品を受け付けるかどうかはまだ検討中」(山下氏)としている。