Kickstarterに3Dプリンタのプロジェクトが登場するのは、ある種のパターンになったようだが、しかし今週資金募集を開始したDeltaMakerは、これまでのものとやや違う。最安の記録更新ではないし、既知のブランドからのものでもない。DeltaMakerは、まあまあ誰でも買えそうなお値段で、ユニークなミッションに挑戦しているのだ。それは、利用者の多い公共施設や繁盛店の店頭など、公開的なスペースにおいて派手に目立つこと。町工場などの片隅に、隠れてしまう製品ではないこと。
DeltaMakerのファウンダが着目したのは、デジタルプリントの進行状態そのものが、そこで作られるプロダクトと同じぐらいおもしろいし、人に見せる価値がある、という点だ。フロリダ州オーランドの同社は、ファウンダのZach Monningerが機械工学の技術者でしかもMBA、Craig Rettewは電気工学系の技術者、Robin Lopezが航空宇宙工学の技術者、Bob Houstonがソフトウェアエンジニア、という変わった顔ぶれだ。また、この顔ぶれだからこそ、3Dプリンタで作る物よりも、3Dプリンタそのもののデザインや機構に凝ることに関心が向いた、とも言える。
DeltaMakerという名前は、その3Dプリンタがデルタロボットであることに由来している。今すでに、いろんなところで使われている三本アームのロボットだ。その特技は、XYZ三次元の位置決めの精度が高いこと。だから3Dプリンタの押出機(エクストルーダー)のヘッドにも向いている。しかもそれは、機能的に優れているだけでなく、見せ物としてもおもしろい。リビングルームのデコレーション、学校の教室、いろんなお店/病院/施設等の待合室、画廊や美術館の一角、などなどに、DeltaMakerは生気を添えるだろう。教育目的に使えるだけでなく、エンタテイメントでもある。ファウンダたちは、歯科医に置くと子どもたちの気持を楽にするだろう、ディナーパーティーの会場に置けば恰好の会話の素材になるだろう、などといろいろ考えをめぐらしている。
そのため、DeltaMakerはデザインがシンプルでベーシックだ。背の高いアルミニウムの構造物で、直径はわずか9インチ、構築室の視野角は360度だ。このデザインは、最終製品においても変わらないだろう。今現在すでに4度目の改訂で、設計工程の現段階は細部の最終仕上げ段階だという。
お値段は、初期投資者には499ドル(とっくに定数完了)、今なら1099ドルだが、これも一定数のみ。うーんと遅れてKickstarterに来た出資支援者には1599ドル。しかしこれでも、3Dプリンタのお値段として高すぎるとは言えない。