iPod nanoとshuffleの販売が終了となる。そんな中、iPodの歴史を振り返ってみたい。
BI:Before iPod(iPod登場以前)
iPodは、最初に登場したMP3プレイヤーというわけではない。ただ、すべてのバランスを正しく調整したプロダクトであったとは言えるだろう。Appleがプロダクトを投入する前から、非常に多くの企業がさまざまなプロダクトを発表していた。たとえばRioを懐かしく思い出す人も多いだろう。登場は90年代のことだった。しかし格好良いものもなく、使い方が複雑で不便なものばかりだった。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの方もひどいできのものが多かった。
(Hulton Archive/Getty Images)
2001: オリジナルiPod登場
2001年、音楽業界はNapsterに震えていた。そこに、音楽業界の再興を謳い文句にしてスティーブ・ジョブズが舞台にのぼってきた。ジョブズが準備したのは、5GBの記憶容量を備えたエレガントなガジェットだった。「ポケット入る1000曲」という宣伝文句もあった。
(Photo by Apple via Getty Images)
2004: iPod Photo
iPodとしては第4世代機となる。インタフェースの変更も行われたが、もっとも大きな変更は操作スクリーンをカラー化したことだった。500ドルを払う余裕があれば、220×176の画面にアルバムジャケットや、あるいは自分で撮影した写真などを表示することができるようになったのだ。iPhoneの登場まで、iPod Photoの解像度も、持ち歩けるデバイスとしては十分なものに感じられたのだった。
(Photo by Apple via Getty Images)
2004: U2 Edition iPod
Songs of Innocenceを無料配信する10年前に、iPodのU2限定モデルが世に登場していた。ボノがピースサインを示しながら手に持っているiPodは、赤と黒でデザインされており、無料のU2アルバムが予め収録されていた。
なお、翌年にはハリー・ポッターモデルもリリースしていて、こちらにはハリー・ポッターのオーディオブックが収録されていた。
(Photo by Tim Mosenfelder/Getty Images)
2004: iPod mini
2004年には、コンパクトでカラフルなiPodも投入された。6GBの容量を備えた本デバイスは大ヒットとなり、iPodの名を一層高めることとなった。しかし本デバイスは2世代で打ち切りとなり、コンセプトは2005年のnanoモデルに引き継がれることとなった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)
2005: iPod nano
茶封筒にMacBook Airを入れる3年前、ジョブズは同じようなことをiPod nanoで行なっている。ジーンズの小銭ポケットからiPod nanoを取り出して、コンパクトさをアピールしていたのだ。iPod nanoは第7世代まで続くこととなった。
(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)
2005: iPod shuffle
ハードディスクでなく、フラッシュメモリーを搭載した最初のiPodだ。デバイスはますますコンパクトになり、ジョギングなどワークアウトの最中に、収録した曲をランダムに再生するような使い方を想定している。ガムのようにコンパクトで軽量であり、首から下げていても気にならないのがウリだった。価格も99ドルで、他のiPodにくらべてはるかに安価なモデルとなった。利用シーンを限定することで、スクリーンをなくすということで成し遂げたサイズ・価格のモデルだった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)
2006: さらに小さなshuffle
1年たって、デバイスはさらなる小型化の道を歩んだ。shuffleの第2世代はサイズを半分以下として、重さも大幅に減らすことに成功した。服にクリップで取り付けられるようになり、身に着けていることが全く気にならないサイズになった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)
2007: iPod classic
2007年、これまで単にiPodと呼ばれていたプロダクトはiPod classicと呼ばれることとなった。黒と白のプラスチック筐体はアルミになった。電池のもちは画期的に伸び、記憶容量も最大160GBとなった。「classic」の名がついたことで、本モデルの終了も間近であるとの噂も流れた。しかし2007年以降もアップデートが行われ、以後7年にわたって販売されることとなった。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)
2007: iPod touch
初代iPhoneと同じ時期にリリースされたiPod touchは、従来のiPodとは大いに異なるものとなった。iOSで動くiPod touchは、セルラー機能のないiPhoneとでもいうべきものだった。しかしこのデバイスのおかげで、iPodの名前が受け継がれ続けるようになったという意味はある。すでに2年ほどアップグレードが行われていないが、Apple Musicを楽しむのに不足はない。少なくともいましばらくの間は生き残っていくのだろう。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)
2007: iPhone
2007年、ジョブズはMacWorldにて3つのプロダクトを紹介すると語った。3つとは、iPodと携帯電話、そしてインターネットにつながるデバイスであるとのことだった。そんな言葉に続いてアナウンスされたデバイスはiPhoneだった。これ1台で、先に述べた3つの役割すべてを果たすことができるという意味だったわけだ。iPhoneの先祖はといえば間違いなくiPodということになるはずだ。ギリシア神話風にいうのなら、iPhoneは父親殺しの犯人ということになるのだろう。iPodの利用される世界は狭まりつつある。
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(翻訳:Maeda, H)