必要なHRサービス間でデータ連携、マネーフォワードが「MF クラウド給与」のAPIを公開

採用から労務管理まで、HR領域のクラウドサービスは増えてきている。業務の用途別に複数のサービスを利用している会社も多いだろう。しかし、複数のサービスを利用する場合は、データ連携の課題が発生する。マネーフォワードは、HR領域の他社サービスとAPI連携することで、各企業が自社にとって最適な人事労務サービスを選べる世界を実現したい考えのようだ。マネーフォワードは本日、それを実現する「Connected HR」と銘打ったコンセプトを発表し、クラウド型給与計算ソフト「MF クラウド給与」と連携を希望するサービスにAPIを公開すると発表した。

企業の規模やステージに応じてニーズが異なるとマネフォワードは説明する。例えば、9時から17時が定時の会社と、アルバイトの多い飲食店、あるいは業務委託が多い職場だと勤怠管理や労務管理に求められる機能は違う。マネーフォワードでは、それを1社で全ての機能を賄うことは難しいと考え、各企業が労務管理にはこのサービス、勤怠管理には別のサービスといったように、その会社に最適な組み合わせで利用できるようにしたい考えだという。

これまでにもマネーフォワードは勤怠管理の分野ではKING OF TIMEジョブカンCREW CHECKERTouch On Timeの4サービス、労務管理ではSmartHR労務ステーションの2サービスとAPI連携を行ってきた。ただ、これまでのデータ連携は、勤怠管理サービスから「MF クラウド給与」に勤怠情報を移すといった一方通行に限られていたとマネーフォワードの広報担当者は説明する。今後はHR領域の他のサービスとも連携を進め、双方向でのデータ連携も可能になるという。具体的には、社会保険手続きの簡素化、年末調整の計算や電子申告、人材評価などの分野で、「MFクラウド給与」の給与や賞与データの活用を想定しているという。

HR領域で他社サービスと協力関係を築くというマネーフォワードが掲げる「Connected HR」のコンセプトは、競合となるfreeeの戦略とは正反対のものと言えそうだ。2017年3月、freeeは「給与計算 freee」に機能を追加する形で、新たに人事労務業務のための「人事労務 freee」を2017年初夏頃から提供すると発表した。freeeは従業員データを一元管理することで、企業の人事労務業務の効率化を目指すとしている。

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TechCrunch Japan

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