企業情報データベースの「BaseconnectLIST(以下、LIST)」を開発するBaseconnectは12月20日、ジェネシア・ベンチャーズ、みずほキャピタル、京都市スタートアップ支援ファンド、ユーザーローカル代表取締役の伊藤将雄氏、YJキャピタル、EastVenturesなどから総額1億円を調達したと発表した。この調達金額には地銀からの融資も含まれる。
テレアポや飛び込み営業というのは、今も昔も変わらない営業の現場の姿。営業員たちはいわゆる「見込み客リスト」を片手に営業をかけていくわけだが、そのリストの作成には膨大なコストと手間がかかる。Web上の情報や電話帳から得たデータをもとに人力でリストを作成し、片っ端から営業をかけていくという企業も少なくないだろう。
そのような企業に対し、営業先となる企業に関する各種情報を集めた企業データベースを安価で提供するのがBaseconnectだ。LISTでは、同社が保有する企業データを約20項目の検索条件(従業員数、売上規模など)で絞り込み、それを見込み客リストとして出力することが可能だ。LISTは12月20日よりベータ版を公開。正式リリースは2018年4月を予定している。
SaaS型で低価格、レコメンドも
企業情報をデータベースとして提供する企業は多くある。大企業まで網羅する企業としては帝国データバンクやランドスケイプなどがあるし、スタートアップを中心としたデータベースにはCrunchBaseもある。しかし、Baseconnect代表取締役の國重侑輝氏は、それでも「データベース業界は旧態依然とした業界であり、企業情報を安価で入手できるSaaSがない」と話す。
Baseconnect Listの料金は従量課金制で、企業情報1件にかかる料金は25〜30円。最も安いプランでは月額9000円で利用できるという。この値段であれば、スタートアップや中小企業でも手を出しやすい。企業規模が大きくなり、営業活動が本格化すれば見込み客リストを無制限に作成できるプラン(月額50万円)を選ぶこともできる。
Baseconnect Listにはレコメンド機能があることも特徴だ。これは、ユーザーが既存顧客のデータをアップロードすると、その企業に似た企業をデータベースから抽出してリスト化するというもの。既存顧客と見込み客との間の類似点をスコア化し、その点数が高い見込み客が成約率が高いと判断する。“既存顧客と似ている見込み客の成約率は高い”というロジックがアルゴリズム化されているというわけだ。
一方で、データベース企業の勝敗を分ける要因の1つが”情報の網羅性”であることも確かだ。今のところ、LISTに格納された企業データは約10万社。國重氏によれば、本社ベースで数えた企業数は全国で400万社ということだから、カバー率はまだ低い。Baseconnectの当面の目標は、その400万社のうち企業活動が活発な150万社をデータ化することだ。
データはデジタルなものだが、その入力作業は人間の手によるアナログなタスク。今ある10万社分のデータを作成するのには約1年の時間を要している。「今では2ヶ月で10万件のペースでデータ化できるようになった」と國重氏は話すが、Baseconnectは今回の資金調達によって現在200名(アルバイトなど含む)体制のデータ作成チームの増強をさらに進める。また、1社分のデータを作成するコストは今のところ約300円だということだが、このコストもデータ作成の自動化を進めることで圧縮していくという。