投票は、自由世界のアキレス腱でありトロイの木馬でもある。正規の有権者が抑圧され、投票の監視が抑圧され、有権者登録システムがハックされる。そしてホラー映画のモンスターのようわれわれの前に立ちはだかる最悪のシナリオ:もし投票マシンそのものがハックされたら?「投票結果」は偽りであり、民主主義は民衆が気づきもしないうちに静かに消滅する。
テクノロジー世界の多くの頭脳がこの問題を考え、さまざまな対策を講じてきた。FacebookとGoogleは、ハーバード大学ベルファーセンターの超党派プロジェクト、Defending Digital Democracy[デジタル民主主義を守る]に資金を提供し助言を与えている。脅威情報を見つけ出し共有するために、アメリカの巨大な半分散化された群単位の投票システムに、サイバーセキュリティツールと戦略を提供することを目的としている。
そして、今日のDef Conでは、既成勢力/反体制スペクトルの対極にあると言える “Voting Machine Hacking Village” が設定され、Matt Blaze等の技術専門家が中心となって、中古品店やe-Bayで購入した各種の自動投票機の脆弱性を評価した。
いずれも称賛に値するイノベーションだ! しかし、自由で公正な投票を守るために、私たちにできるもっと単純かつローテクで効果的な方法がある。それはハッキング不能なマシンを作ることでもサイバーセキュリティを強化することでもない。Verified VotingのBarbara Simonsはそのためのロビー活動を何年も続けている。内容はこうだ:
- あらゆる投票で紙の投票用紙を必須とする。電子投票は禁止、オンライン投票は禁止、「暗号化保証済み」電子投票も禁止。必ず単純で物理的な箱を準備、維持して個人が記入した投票用紙を格納する。もちろん投票箱でも不正は起きうるが、対策は容易であり、何十もの区域や国全体に拡大することはない。
- 予防策としてあらゆる投票を動的に監査する。「動的」とは、「それぞれの投票区域で最初の票集計の後、少数の投票結果を無作為抽出して集計結果と照合する、という意味だ。もし異常があれば、標本数を増やして再確認し、統計的に異常の有無を検証できるまで繰り返す。
ロナルド・レーガンの言葉を借りれば、「信頼せよ、ただし検証せよ」。もちろんセキュリティの高い暗号化されたネットワークや安全な自動投票機等も必要だ。しかし、上のプランは単純だが効果的で、投票マシンをブラックボックスとして扱い、たとえ間違いがあっても検証できる。これはわかりやすく、効果的で、無党派的なソリューションだ。そして、わずかに加わったコストと複雑さは、社会全体を支える基盤を強化できることの価値で十分に正当化される。
しかしこれを実現するためには、この問題が緊急優先事項になる必要がある。ヒトという種は、新しい種類の攻撃に対して、最初の数回が大きく成功した後にのみ反応するという長い歴史を持っている。このケースでそれはよい選択とは言えない。それでも、IT業界や政府、さらには世間一般を通じて、投票の安全は保証されているべきだという認識が高まりつつあるのは幸いだ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )