投資家たちはいまだにソフトウェアが大好きだ

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最近の市場の不安定さにもかかわらず、ここ数四半期の間にソフトウェア企業一般が享受してきた評価額は、すばらしいものだった。米国時間3月5日の記事では、なぜそうなったのか、そして評価額が他のものよりも少々バブル的になっている可能性があるのはどこなのかについて検討した。Battery Venturesの何人かの投資家が書いたレポートでは、その理由を、SaaS市場の中央部が評価額インフレーションのピークを迎えているからかもしれないとしている。

もしスタートアップの成長率が低下している場合に注意しなければならない。しかし、今回の記事では、私は失望や心配の材料の代わりに、いくつかの歴史的に注目すべきデータを持って来て、現代の良いソフトウェアスタートアップやその大規模な兄弟たちが、現在どのようにそのデータに当てはまるのかを示すことにする。

表の解読にあまり興味がない読者のために、時間の節約をすることにしよう。表の一番右上に示されているのは、現在年率10%未満で成長しているSaaS企業は、次の12カ月間の収益の平均6.9倍で取引されているということだ。

これが2011年の段階では、40%以上の成長率を持つSaaS企業の取引額は、次の12カ月の収益の6.0倍だった。景気は変わるが、ソフトウェアの評価額は例外のようだ。

Battery Venturesとの会話からもう1つ紹介しよう。その投資家であるBrandon Gleklen(ブランドン・グレックレン)氏は、ARR(年間経常収益)の定義と現代の市場におけるそのニュアンスについて、The Exchangeに言及した。より多くのSaaS企業が従来のSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)の価格設定を、従量型の価格設定に変更する中で、同氏はARRの定義について細かいことを書くことは避け、ソフトウェアの収益においてとにかく重要なのは、ソフトウェアの収益が長期的に維持され、成長するかどうかであると主張した。これで次の話題に移ることができる。

従量型とSaaS型の価格設定

ここ数週間、公開ソフトウェア企業の業績報告会に、何度も参加している。何度も繰り返し登場するテーマの1つが、従量型価格設定と従来のSaaS型価格設定の対比だ。利用量に基いた価格設定のソフトウェア企業の方が、平均よりも高い顧客定着率のおかげで、従来型の価格設定のソフトウェア企業よりも高い価格で取引されていることを示すデータもある。

しかし、話はそれだけではない。Fastly(ファストリー)のCEOであるJoshua Bixby(ジョシュア・ビクスビー)氏と同社の業績報告後に行ったチャットでは、私たちは従量型課金がより魅力的な場所とそうでない場所の間の、市場の興味深い区別を取り上げて話し合った。ビクスビー氏によれば、Fastlyは、大規模な顧客が従量型の価格設定を好むのは、変動に耐える余裕があり、請求をより密接に収益に結びつけることを好むからだと見ているという。とはいえ、より小規模な顧客は、従来のSaaS型の課金を好むとビクスビー氏は述べている。なぜならそちらは支払額をきっちり予測できるからだ。

私は最近この議論を、Open View PartnersのKyle Poyar(カイル・ポイヤー)氏に投げかけた(同氏は、ここ数週間TechCrunchにこのトピックについて書いているベンチャー業界人だ)。彼は、場合によっては逆のこともあるという、価格が固定されていないことで、開発者が大規模なコミットメントをしなくても製品をテストできることが多いため、中小企業にもアピールできるとの指摘だ。

そのため、おそらくソフトウェア市場では、小規模な顧客たちは、必要量を把握している場合にはSaaS型の価格設定を選択し、まず実験をしたい場合には従量型価格設定を選択するということになるのではないだろうか。また大企業では、支出が収益と連動している場合には、従量型価格への関心が高まる。

SaaSの価格設定の進化は遅々としたもので、決して完全なものにもならない。しかし、みんながそれを本当に考えている。Appian(アピアン)のCEOであるMatt Calkins(マット・カルキン)氏は、価格設定の一般的なテーゼとして、価格は提供される価値以下に留まるべきだと考えている。従量型とSaaS型のトピックを尋ねられて、彼は少しためらったが、現在の価格設定の行われかたについては「完全に満足している」わけではないと答えた。彼は「顧客価値をよりよく代表してくれる」価格設定を望んでいるが、それ以上の発言をすることは拒んだ。

もしこうしたことを考えないまま、スタートアップを運営しているとするなら、この先はどうするつもりだろうか?このトピックについてはこれからも、従量型的なShopify(ショッピファイ)よりも、SaaS型に賭けているBigCommerce(ビッグコマース)CEOとのインタビューのメモを含め、さらに多くの情報をお届けする予定だ。

Next Insuranceとその変化する市場

Next Insurance(ネクスト・インシュアランス)は先週、別の会社を買収した。今回買収したのはAP Intego(APインテゴ)で、このことによってデジタルファーストの中小保険会社であるNext Insuranceには、さまざまな給与計算会社が顧客として加わることになる。Next InsuranceについてはTechCrunchがその成長について何度か書いているので、お馴染みかと思う。例えば、同社は2020年にはプレミアムランレートを2倍の2億ドル(約216億7000万円)に引き上げている。

AP Integoの買収により、ネオ保険会社のNext Insuranceには1億8510万ドル(約200億5700万円)のアクティブプレミアムがもたらされる。つまり2021年の同社は、自然成長を計算にいれなくても、現時点ですでに急成長を遂げていることになる。このNext Insuranceの取引と目前に迫ったHippo(ヒッポ)のSPACは、非公開市場でのホットな話題ではあるが、一方インシュアテックの公開市場における熱は少々失われている。

Root(ルート)、Lemonade(レモネード)、MetroMile(メトロマイル)のような公開ネオ保険会社の株式は、ここ数週間でかなりの価値を失っている。そのため、Next InsuranceやHippoのような(急速なプレミアム成長を支えている多額の資本を持つ、未公開インシュアテックのスタートアップ)企業たちのエグジットの状況は、悪い方向へと変わりつつある。

HippoはSPACを使って公開を行うことを決めた。しかし私は、Next Insuranceは物事がスムーズに進むようになるまで、公開への道を急ぐとは思っていない。同社は2020年9月に2億5000万ドル(約270億9000万円)を調達しており、株式公開を急ぐ必要はない。

その他のことなど

さて他には?1億ドル(約108億円)ARR(年間経常収益)クラブの会員であるSisense(サイセンス)が新しいCFOを採用した。よって、私たちは彼らが今後4~5四半期以内には上場すると予想している。

そして、以下のチャートは、SPAC Alphaから出されて、NASDAQ(ナスダック)、そしてLux CapitalのDeena Shakir(ディーナ・シャキール)氏を経由して引用したものだ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange保険SaaS

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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