Uber(ウーバー)は、米国とカナダの当局からの乗客についてのデータ開示要請が過去1年間に急増したことを明らかにした。11月20日に発表された年次透明性レポートによると、法執行機関が2018年にユーザーのデータ開示を要請した件数は前年から27%増加した。増加の要因は部分的には事業規模が大きくなったためだが、Uber顧客のデータにアクセスしようと政府の「関心が増大した」ことも影響しているとUberは指摘する。
2018年には、米政府からユーザー2万1913人について3825件のデータ開示要請があり、72%のケースでデータを開示した。その前の年はユーザー1万7181人について2940件の要請で、データ開示は2018年よりわずかに高い73%だった。カナダ当局からは2018年にユーザー593人について161件の開示要請があった。
5月に株式公開し、それ以前の企業価値は820億ドル(約8兆9000億円)だったUberは、ユーザーのデータ開示要請の増加は悩みのタネとなっていると話した。「規制や治安義務を遵守しながら消費者のプライバシーを守るという責務は、毎年増え続けている政府からのデータ開示要請により、ますます複雑で困難なものとなっている」とUberでグローバルプライバシーとセキュリティを担当するUttara Sivaram(ウッタラ・シヴァラム)氏は述べた。
Uberはまた、ユーザー3400万人の乗車情報を米国当局に、180万人の乗車情報をカナダ当局に明らかにしたと語った。「我々が対象となった法的そして規制上の要請」の一環として当局に情報を開示するよう命令された、とUberは説明した。この情報には、ピックアップとドロップの場所、料金、「乗客個人を特定できる」かもしれないその他のデータが含まれる。
政府からかなりの数のデータ提出要請を受けているのはUberだけではない。 Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)、そしてTwitter(ツィッター)も政府からの要請が増えていることを明らかにしていて、顧客ベースが成長するにつれ、政府は企業のデータをますます欲しがるようになっている。
しかしUberへのデータ開示要請は、配車やフードデリバリー、電動スクーターといった消費者事業に関するものがほとんどで、世界で数百もの都市で事業を展開しているにもかかわらずすべて北米のものだ。全体的に法執行機関からの要求が増えている一方で、安全保障の観点からの要請はこれまで皆無とのことだ。
安全保障上の情報提供は稀だがなくはない。秘密連邦裁判所やFBIが発行した召喚状といった安全保障上の命令のほとんどにおいては、要請を受けていることを企業は公けにできないルールがある。いわゆる「令状のカナリア」の文言を積極的に掲載することで、そうした要請を受けた時に企業はウェブサイトからそうした文言を消して静かに知らせることができる。
Edward Snowden(エドワード・スノーデン)の告発によるNSA監視スキャンダルを受け、アップルが最初の透明性レポートで令状のカナリアを使ったのは有名な話だ。2016年にRedditは令状のカナリアを静かに消し、機密扱いの命令受けたことをうかがわせた。米国憲法修正第1項では政府が強制する言論を保護しているが、令状のカナリアが合法かどうかはグレーのままだ。
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(翻訳:Mizoguchi)