さまざまなテーマの教育用ゲームを提供している、有名なeラーニングプラットフォームのKahoot(同社は自らを「教育向けNetflix」と表現している)が、初の買収を行った。数学アプリを開発するスタートアップのDragonBoxを、現金と株式の合計1800万ドル(約19億8000万円)で買収したのだ。
KahootのCEO兼共同創業者のアスムンド・フルセス(Åsmund Furuseth)氏は、インタビューの中で、今回の買収は3億7600万ドルだったこれまでのKahootの評価額が、急速に上昇している最中に行われたと語っている。同社の評価額はいまや4億ドルに近付いているのだ。
これはDragonBoxにとっては、比較的好ましいエグジットだ。PitchBookによれば、同社が2012年以降に調達した資金は50万ドル未満であり、主にインキュベータやアクセラレータと関わる中で調達が行われてきた。
計画では、DragonBoxをKahootのラインナップの1つに加えることはもちろん、DragonBoxの既存のビジネスの成長も大きく進めていく予定だ(ちなみにDrogonBoxはKahoot同様にノルウェーにルーツを持っている)。現在DragonBoxは、数百万のユーザーを既にヨーロッパで抱え、K-12(高校まで)の数学カリキュラムを教えるために使っている学校も存在している。だがこれからは、この先中心となる、Kahootのための教育コンテンツの開発も同時に始める。
これまでのKahootプラットフォームは、Kahootによって作成されたコンテンツとユーザーによって作成されたコンテンツ(ユーザーはKahoot上で独自のゲームを開発できる)の両方を組み合わせながら、有機的に成長してきた。このとき同社が対象にしてきたのは、K-12ユーザー(高校生までの生徒)と、研修に用いる企業顧客たちという2つの市場だった。フルセス氏は、DragonBoxを、これらのうちの最初の市場を補完するものと考えている。特に子どもたちが学校で習ってくるものに対して、親の指導の下で家庭で行う補習としての位置付けだ。
それはKahootが既に大きな事業を展開している分野である。フルセス氏によれば、プラットフォーム上で2018年に行われた10億回のゲームプレイのうち、7億回はK-12の学校の教室から、3000万回が企業から、そして残りのおよそ2億7000万回がKahotを家庭で使っている人たちからのアクセスだったということだ。今回の買収は、DragonBoxが良くフィットする、家庭という3番目のセクターにサービスを提供できる、より多くのコンテンツを開発する機会につながることだろう。
「創業初日以来、DragonBoxは数学の学習をより楽しく、そして世界中の子供たちにとって魅力的なものにしてきました。Kahootと共に、さらに数百万人のユーザーに、数学の学習を素晴らしい方法で楽しんでもらえるようにしていきます」と語るのは、数学教師であり、DragonBoxのCEO兼共同創業者のジャン=バプティステ・フィン(Jean-Baptiste Huynh)氏だ。
フルセス氏はさらに、Kahootの有機的な成長を続けるために、さらなる買収を検討していることを付け加えた。教育の世界には自力で成長しようとしている何十もの小さなスタートアップがあるからだ(現在存在している少数の企業ユーザーは狙わない。おそらくその領域に対しては、現行のものとは異なる別種のビジネスを通して成長することを試みるのだろうと筆者は想像している)。
「一般的に、多くのエデュテック企業にとっては、たとえそこそこ成功していたとしても、大量のユーザーを相手にすることは困難です、なぜならノイズを切り捨てることが難しいからです」とフルセス氏はインタビューの中で答えている。「私たちは、現在そして将来にわたって、より多くの学習体験に手を広げることで、私たちのブランドが役立つことができると考えているのです」。
CEOであるフルセス氏の下で、同社は昨年から始められたIgniteという名のアクセラレーター事業でも、そのことを推進しようとしている。それはスタートアップたちの育成を狙うことはもちろんだが、協業したり買収したりするのにふさわしいスタートアップを発見する手段でもあるのだ。
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(翻訳:sako)