Qikfoxはただのブラウザではない。消費者をオンライン詐欺の蔓延から守るだけでなく、コンテンツの公開を民主化して、多くの人に届けるという使命がある。
Qikfoxはすでに、長年のベンチャー投資家であるTim Draper(ティム・ドレイパー)氏からシード資金を調達しており、今週のTechCrunch Startup Alleyに出場した。ブラウザのエクステンション(拡張機能)でスタートした同社は、独自の検索エンジンやウイルス撃退機能、そして「世界で初めて」の分散化IDシステムを持つ完全に羽根の生えそろったプレミアムブラウザに変身した。
Qikfoxの創業者でCEOのTarun Gaur(タルン・ガウル)氏は、「開発した動機は、インターネットブラウザが消費者に提供しているものを自分たちで管理していないからです。インターネットブラウザは40億ものウェブページをホストしていますが、インターネットはこのようなコンテンツの洪水を想定していませんでした」と語る。
「デベロッパーやプライバシーにフォーカスしたインターネットブラウザもありますが、まず安全性とセキュリティを解決しなければ、プライバシーを解決することはできません」。
Qikfoxのアイデアは、テクノロジーに詳しいガウル氏の母親が、Googleの偽広告をクリックしてオンライン詐欺の被害に遭ったことから生まれました。Qikfoxは、人口が多いベビーブーム世代が同じ被害に遭わないように、オンラインビジネスが正当なものであるかどうかを確認する78種類のシグナルを採用している。
「私たちのブラウザは、これらのウェブサイトを識別し、アクセスできないようにブロックします。これにより消費者が詐欺に遭うことはほとんどありません」とガウル氏はいう。
Qikfoxが搭載するウイルス撃退システムはブラウザをスキャンして保護するだけでなく、ユーザーのシステム全体を監視する。ガウル氏によると、Qikfoxは今日の市場で最も安全なブラウザだ。「ベンチマークによると、プライバシーとセキュリティの面で競合他社を圧倒しています」という。
ガウル氏は以前、モバイルとクラウドファーストのターンキーソフトウェアのコンサルティング企業Tringappsを創業した。しかし彼は、そこに安住しなかった。彼は現在、Amazonのようなeコマースのウェブサイトで偽造品を検出する高度な機能を開発している。また長期的には、Qikfoxを完全なオペレーティングシステムにする計画もある。
しかし、彼の究極の使命は、ゼロコードのコンテンツ公開と普遍的に発見可能なハンドルを使うことで、ウェブをより参加的で民主的なものにすることだ。
「分散インターネットを作る試みはたくさんありましたが、すべて失敗しました。技術がなかったからではなく、スパムをどうやってコントロールするか、誰にもわらなかったからです。そこで私たちが開発したのは、IPFS(InterPlanetary File System)をもっと革新的にしたような技術で、それは今日のIPFSや分散インターネット技術にできることを、はるかに超えています。例えばドメインネームというシステムはまったく必要ありません」とガウル氏はいう。
ガウル氏は、技術者でない一般消費者がデジタル経済に参加するために、Smart Stacksというものを開発した。それは、ゼロコード(コーディング不要)のコンテンツ発行プラットフォームで、コンテンツを普遍的に発見可能にする。「Googleが現在、クラウドでやってることを分散化で置き換えるようなものを作りたい」とガウル氏はいう。
Qikfoxの使用料は年間180ドル(約1万9800円)で、今のところ北米地区で招待制のみで提供されているが、すでに4000あまりのサブスクリプションがあるという。ガウル氏によると、今後3カ月で英国とヨーロッパにもこのブラウザを紹介したいという。
画像クレジット:Qikfox
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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)