日本のUncovered Fundがアフリカのアーリーステージ企業向けに15億円超のファンドを設立

アフリカのアーリーステージのスタートアップをターゲットにしたVC「Uncovered Fund(アンカバードファンド)」は2月16日、1500万ドル(約15億9000万円)のファンドを立ち上げたことを発表した。新ファンドは6月末にクローズする予定だという。2019年に寺久保拓摩氏が設立した東京を拠点とする同社は、アフリカのスタートアップのシードおよびシリーズAステージを対象に、5万ドル(約530万円)から50万ドル(約5300万円)の投資を実施する。

寺久保氏はUncovered Fundの前は、Leapfrog VenturesのCEOを務めていた。日本のスタートアップインキュベーターであるサムライインキュベートと共に、アフリカのアーリーステージのスタートアップに特化したファンドSamurai Incubate Fundを立ち上げた実績がある。在任中はケニア、ウガンダ、ルワンダ、南アフリカ、ガーナ、ナイジェリアのスタートアップを対象に450万ドル(約4億8000万円)以上の資金調達を行った。また、Uncovered Fundと同様の投資レベル(5万ドルから50万ドル)で10社以上のスタートアップに資金を提供した。

寺久保氏は、なぜSamurai Incubate Fundを去ったのかはコメントしていない。しかし、同氏によると、Uncovered Fundの投資手法は、資金を提供するだけではないという点で、前職の会社とは異なるという。

「散らばった一発勝負の少額投資を行うのではなく、フォローアップ投資を含めた長期的な成長支援を行います。また、投資だけでなく、日本企業の莫大な資産を掛け合わせて事業を成長させ、技術的なサポートや融資も行っていきます」と同氏。

これらの企業が誰であるかについては、寺久保氏はまだ名前を公表していないが、今後数ヶ月のうちに公表したいと述べた。

Uncovered Fundは、ケニア、ナイジェリア、南アフリカを中心に、リテール、フィンテック、ヘルステック、ロジスティクス、MaaS、アグリテック、スマートシティなどの分野で活躍するスタートアップに注力する。ゼネラル・パートナーは、「これらは人々が生活する上での基本的な行動であり、できるだけ早く利便性を向上させることが重要だと考えている」ため、これらのセクターに投資を行うと述べている。

同社は、これらのセクターや市場にまたがるスタートアップ5社へ既に出資していることも明らかにした。その中には、ケニアのeコマース・プラットフォームSky Garden、米国を拠点とし、アフリカに特化したヘルステック・スタートアップのRxAll、フランス語圏アフリカのモビリティ・スタートアップGozem、ケニアのフィンテック企業LipaLater、YCの支援を受けたナイジェリアのデジタル貨物輸送スタートアップSEND Technologiesが含まれている。

これらの企業の中には他の国でビジネスを展開している企業もある。寺久保氏によると、同社は他のアフリカ諸国のスタートアップにも資金提供を検討するという。

「我々は、複数の国にまたがって事業を拡大するアフリカのスタートアップを探しています。ですから、スケールできるビジネスであれば、どの国のスタートアップでも歓迎します」。

Uncovered Fundは、Future HubKepple Africa、そして最近立ち上げられたSherpa VenturesなどのアジアのアーリーステージVCの仲間入りをすることになる。これらの過去4年間にローンチされたファンドは、合わせて50社以上のアフリカのスタートアップに資金を提供している。寺久保氏は、今年は15社のスタートアップを支援し、アフリカの創業者とアジアの投資家との相乗効果をさらに高めることで、この数を増やしたいと考えているという。

「我々はアフリカからアジア市場までの共同開発を視野に入れており、それが将来の大きなビジョンとなっています」と同氏はいう。「VCとして、また起業家として、アフリカの起業家のみなさんと一緒にその未来を創っていくチャレンジを楽しみにしています」。

関連記事:南アフリカのVC企業Knife Capitalが資金52.5億円確保、シリーズB10〜12社への投資を計画

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:アフリカ

[原文へ]

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。