エリーは1月17日、絹(シルク)の原料となるカイコ(蚕)の幼虫を原料にした「シルクフード」の販売店「シルクフードラボ」を、東京・表参道に1月20日から期間限定でオープンすることを明らかにした。
同社は2025年〜2030年ごろに到来するといわれているタンパク質危機を回避するために、カイコの食品化に注目。タンパク質危機とは、世界的な経済発展によって平均所得が向上し、動物性食品を摂取する人口が増えることで、需要と供給のバランスが崩れることを指す。
海外ではImpossible FoodsやBeyond Meatが大豆など植物由来の原料を使った代替肉が登場しているほか、国内でもBugMoが原料の一部にコオロギを使ったスナックバーなど販売している。さらには、藻の一種であるスピルリナの食用化の研究も進んでいる。
エリーではカイコを加工することで、ハンバーガー、スープ、スナック、ケーキなどをはじめ、主食、副菜、デザート、飲料など最終的には10種類弱のメニュー展開を予定している。単なる代用食ではなく味も追求しており、プロのシェフに意見を求めコクや甘みなどにもこだわっているという。シルクフードラボで提供されるのは以下のメニューとなる。
シルクバーガー
価格:単品1100円、セット1500円(スープ/ポテト/ドリンクから選択)
シルクフードの特徴である深いコクと甘みを生かして開発。同社によると、もう一度食べたくなるような余韻も感じられるという。
シルクスナック
価格:600円
シルクフードの香ばしさを生かしたメニュー。シーズニングに独自ソルトを使用し、風味を存分に引き立てている。
シルクスープ
価格:単品650円(パスタ入り)
シルクフードにミネストローネに加えることで旨味が加わってコクを感じられるとのこと。
シルクシフォンケーキ
価格:500円(カット)
シルクフードのナッツのような風味を味わえる。ホイップクリームとミントとの相性が抜群とのこと。
カイコと聞くと少しびっくりしてしまうが、同社は伊藤忠商事や稲畑産業、キリン、大正製薬などのアクセラレータプログラムへの出場経験があるほか、東大IPCの起業支援プログラムにも採択されている。またシルクフードについては、京都大学と共同研究しているほか、京都大学GAPファンドプログラムから研究費を調達。さらには蚕糸絹に関する科学技術の研究や発明、応用についての助成を受けられる、貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成も受けている。そのほか、京都大学イノベーション事業化プログラム最優秀賞を受賞している。