過去数年間におよぶApple(アップル)の評価額の急騰が米国時間1月3日、そのピークを迎えた。クパチーノに本社を構えるこのソフトウェアとハードウェアの企業の時価総額は、Google Financeのデータで3兆ドル(約347兆5000億円)の節目に達した。
データの出処によってやや違いはあるが、コンセンサスとしては、同社は日中取引で3兆ドルの時価総額に到達している。一部、2兆9900億ドル(約346兆3000億円)とするデータもある。
注目すべきは、3兆ドルと2.99兆ドルの違いは100億ドル(約1兆2000億円)だから微差にすぎないことだ。いずれにしてもAppleは、現代の企業の時価総額の、新しい最高水準値を定めた。めでたい。
注目すべきは、3兆円と2兆9900億ドルの差は100億ドル(約1兆2000億円)だが、その差ははした金はいえないことだ。ともあれ、Appleは現代における企業価値の新たな高水準を打ち立てた。めでたい。
それがどうした?
1つのテクノロジー企業、ないし一般に1社が、3兆ドルの時価総額になっても、見出しに財務の大きな数字が踊る記事を見慣れている人なら驚かないだろう。しかし実際にそれは、大きな成果だ。
状況説明をすると、2017年5月に私は、テクノロジー大手5社の時価総額が、5社合わせて2兆9700億ドル(約343兆9000億円)になり、3兆ドルに近づくと書いた。実際に同年後半の7月にはその額に到達している。翌年の2018年には同じ5社合計の価値が4兆ドル(約463兆2000億円)になり、前年から大きく飛躍した。
その後のことは、誰もがご存知だろう。パンデミックがテクノロジー企業の価値を変え収益1ドルあたりの額は前例のない額になった。テクノロジー企業に対する新型コロナウイルスのインパクトは、純粋なソフトウェア企業とって最も厳しいものだったが、Appleが自力で3兆ドルを達成したことからもわかるとおり、、米国の最大手テクノロジー企業は好調だった。3兆ドルといえば、5年前のAppleとAmazonとMeta(元Facebook)とMicrosoftとAlphabetを合わせたのと同じ価値だ。
別の理由でも、3兆ドルは注目に値する。Crunchbaseのニュースによると、3兆ドルは2021年半ば時点でのユニコーンの価値の合計となる。CB Insightsによれば、その合計額は現在、3兆1000億ドル(約359兆1000億円)だという。つまり、Appleの価値はすべてのユニコーンの価値を合わせたものと同じというということだ。途方もない!
私たちは、テクノロジー大手はなにしろ大きい、ということを忘れてしまいがちだ。その規模を具体的に理解するのは難しい。率直にいって彼らの富の中には、事実上、不可算なものもある。
多くのSF小説が、企業が暗黙的または明示的に国家のようなものになってしまう未来を描いている。私が想像しても、そのように感じる。Appleが単独で3兆ドルに達した現在、SF作家たちは預言者だったといえる。
画像クレジット:JOSH EDELSON/Stringer/Getty Images
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)