最新Chromeはタブのグループ化、QRコード生成に加えてパフォーマンスも大きく改善

Google(グーグル)はウェブブラウザであるChromeのアップデート(v.85)を順次公開している。新しいChromeは生産性が向上し、読み込みなどパフォーマンスも高速化されているという。グーグルは、特にChromeの使い勝手の向上としてタブ周りの強化に力を入れており、そのタブをグループ化する新機能は使い勝手を大きく改善する。目に見えない部分での強化では、ページの読み込みが最大10%速くなっている。またバックグラウンドタブがアイドル状態になった場合のリソースを再配分して影響を最小限に止めるよう改良も行われている。

全体として、今回のアップデートはChromeを仕事などで定期的に利用しかつ大量のタブを開くパワーユーザーをターゲットにしたようだ。グーグルは2020年5月に、ユーザーが開いたタブをグループ化し名前をつけられる機能をまずベータ版としてリリースしていた。ユーザーはタブのグループ化機能を利用して繰り返し開くタブにまとめてラベルを付けておくことができる。同様に特定のアプリで開いたタブ、オンライン検索の結果などをグループするのにも使える。今回のアップデートでタブびグループ化機能が一般ユーザーに公開される。ベータテスターからのフィードバックをベースにグーグルは様々な調整を行った模様だ。

また新しいChromeでは、ユーザーはタブをグループ化するだけでなく、作成したタブグループをまとめて開いたり閉じたりできる。つまり現在の作業に必要なタブだけを表示しておくことができるわけだ。グーグルによれば、これがベータテスターから最も多く要望があった機能だという。また2 in 1のノートパソコンなどのデバイスをタブレットモードで利用する際、タッチでタブを操作する機能も加わった。これはまずChromebookから利用できる。これは多数のタブを開いている場合、指を滑らせて素早くページを切り替えることができる。

画像クレジット:Google

Android版Chromeではアドレスバーにページをタイプし始めた際、そのページがすでに開かれていれば移動先候補として表示される。Android版では、コピーないし他のユーザーとの共有を容易にするために短縮URLが提供される。

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さらに、ページをプリントアウトすることもできる。ダウンロードしたりページを開いたりするためのQRコードも生成できる。

QRコードの生成機能はデスクトップ版のChromeにも近く導入される。ChromeのアドレスバーにQRコードのアイコンが表示されるのでそこからアクセスできる。

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今回のアップデートでユーザーに大歓迎されそうなのはChrome内から直接PDF書式に記入して保存できる機能だ。ユーザーは保存したPDFを開き前回中断したところから作業を再開できる。ただし、全ユーザーがこの機能を利用できるようになるには多少時間が必要だ。グーグルによれば数週間かかるという。

なお、Chromeベータ版には開いたタブの上にマウスを乗せると、内容がサムネイル表示される機能が追加された。これはGoogleドキュメントを使っている場合など同一ドメインで多数のファイルを開いている場合に、便利なはずだ。

今回のアップデートでは、タブを多数開くような使い方が非常に快適にできるようになっている。1つはプロフィールを利用したコンパイル最適化で、パフォーマンスに最も重要な影響を与えるコードを高速で実行できるようになった。グーグルによれば頻繁に利用されるタスクに高い優先順位を与えることによりページの読み込みが最大10%速くなったという。この最適化はWindows版、Mac版ともChrome(バージョンM85)で搭載される(この機能は実はWindows版ではChromeの以前の開発環境でMicrosoft Visual C++が利用できたためM53から搭載されていた。今回はClangが使えるようになったためMac版、Windows版ともにアップデートされた)。

Chromeのベータでグーグルは「タブ・スロットリング」というテクノロジーを導入している。これは、現在使用しているタブにリソースを割り当てるという機能で、長い間バックグラウンドにあるタブのリソースをユーザーが現在開いているタブに割り当てる。これにより読み込み速度だけでなくバッテリー消費やメモリー消費なども抑えられるという。

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ChromeのMac版はこれまで重い、リソースを食い過ぎる遅いといった批判を浴びてきた(Cult of Mac記事)。こうした問題には。非常に複雑な原因があるのが普通だが、ユーザーはOSよりまずソフトウェアの問題だと考えがちだ。そこでグーグルも、今回のようなテクニカルな最適化に注力してパフォーマンスの向上を図らざるを得ない。パフォーマンスアップがどの程度実現してるのかは、アップデートが行き渡ってからサードパーティによる公平なテストが必要だろう。

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カテゴリー:ソフトウェア

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(翻訳:滑川海彦@Facebook