NASAが計画する月への帰還計画には、次の5年で300億ドル(約3兆3000億円)もの費用がかかるかもしれない。今週行われたインタビューの中で、同機関の管理者ジム・ブリデンスティン(Jim Bridenstine)氏がそう示唆した。もちろん、これはあくまでも概算に過ぎない。とはいえこれは私たちが初めて目にした包括的な数字であり、莫大な費用ではあるものの、予想されていたものよりは安いものである。
ブリデンスティン氏はCNNとのインタビューの中で、NASAが月面に再び降り立つために必要な費用は、200億ドル(約2兆2000億円)から300億ドル(約3兆3000億円)の間になるだろうと示唆した。さらに月軌道プラットフォームゲートウェイ(Lunar Gateway)を充実させたり、恒久的な構造物を残したりといったことを行う場合には、追加のコストが発生する。
この数字を広い視野から眺めてみた場合、NASAの年間予算は約200億ドル(約2兆2000億円)であり、これは連邦政府の他の多くの政府機関や予算項目と比較してごくわずかなものだ。予想される追加費用は年間平均4〜60億ドル(約4400億円から6600億円)になると思われるが、支出はそれほど一貫してはいないだろう。例えば、NASAが来年に向けての追加予算として要求したのは16億ドル(約1700億円)だけだ。
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2019年の時点で、月への再着陸にかかる費用が1960年代のアポロ計画と同じ(約300億ドル)だということに驚く人もいるかもしれない。だかもちろん、今回私たちは惑星間有人旅行をゼロから構築するわけではない。アルテミス計画を支える技術とインフラストラクチャ(実証済みのものも最近開発されたものも)には既に何十億ドルもの投資が行われている。
それに加えて、ブリデンスティン氏は、NASAがこの規模のミッションでは過去になかったほどの規模で、商用宇宙利用と提携することで、コストが削減できることを頼りにしている。コストシェアリング、共同開発、および内部ではなく商用サービスの使用によって、数十億ドルが節約される可能性がある。
ブリデンスティン氏がCNNに語った副次的な目的は「アルテミスプログラムに資金を提供するために、NASAの一部と共喰いになることがないようにすることです」ということだった。よって、他のミッションから資金を引き出したり、あるいは他のプロジェクトから技術や部品を選択することは考えられていない。
議会がその予算を承認するかどうかはまだわからない。今後5年間での技術開発と展開の基本的なスケジュールについては、さらに多くの懸念がある。たとえ何十億ドルを費やそうとも、すべてが計画通りに進んだとしても、NASAは月面への帰還ミッションがこの期間では不可能であることをただ知ることになるのかもしれない。例えば、SLSやOrionのプロジェクトは予算を超えており、繰り返し延期されている。
大胆で積極的なタイムラインは、NASAのDNAの一部だ。とはいえ彼らは最善の計画を立ててはいるものの、エンジニアとプログラムマネージャーたちが最悪の事態にも備えていることは確実だろう。彼らがやり遂げることを見守ろう。
画像クレジット: NASA
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(翻訳:sako)