新型コロナウイルスのワクチン候補に90%の予防効果が認められ、数カ月もしないうちにワクチン接種が始まるかもしれないというニュースを受け、世界の株式市場は反発している。相場はひっくり返り、先物も取引開始前で急上昇した。新型コロナによって打撃を受けた産業にとってはいいニュースだ。しかし、すべての企業が上昇気流に乗っているわけではない。
実際、米国時間11月9日に航空会社やクルーズ会社の株価はラザロのように復活している一方で、これまでもてはやされていたZoom(ズーム)やPeloton(ペロトン)のような企業の株価は急落している。
Pelotonのエクササイズマシーンは外出がままならなくなった運動習慣のある人に愛用されたため、同社の株価は急成長していた。しかし、ワクチンのニュースを受けて同社株は13%近く下げている。企業に活用されている人気のビデオチャットサービスZoomの株価も13%下げている。またEtsy(エッツィー)やWayfair(ウェイフェア)といったオンライン小売も影響を受けていて、2桁の下げ幅となっている。Amazon(アマゾン)すら取引開始前で2.3%下げている。
11月9日の朝は、これまでのトレンドの反転となっている。今夏、テック株は投資家のお気に入りだったが、いまは明らかにテック株から金が逃げ、さほど高くない他の株へと移っている。
時期尚早ではあるが、投資家がいまや大幅に広がった成長投資に資金を注ぐにつれ、ソフトウェア業界の株価も大幅に下げそうだ。そうなれば、テック業界はぱっとしない公開企業のバリュエーションを受け入れざるをえなくなるだろう。
そうした動きはスタートアップ、特に上場に向けてバリュエーションを気にかけているレイターステージのスタートアップに影響をおよぼすかもしれない。レイターステージスタートアップ投資は2020年、投資家がIPOや他のメカニズムを流動性オプションととらえたためか活発だった。そうした投資額が少なくなれば、テックスタートアップは資金確保が厳しくなるかもしれない。
もちろん語るにはまだ早く、状況は変わりうる。実際の経済活動に影響をおよぼすには数カ月かかるニュースに、投資家はあまりにもアグレッシブに反応しているのかもしれない。しかし11月9日に、2020年の株式市場における新章が始まったようだ。
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(翻訳:Mizoguchi)