ベンチャーキャピタリストはパッとしないIPO市場や苦戦を強いられているテック株は、彼らが慎重に行動している証拠と説明するだろう。しかし、データは違うことを示している。National Venture Capital Associationのデータによると、2016年最初の四半期における投資額は121億ドルだった。これは第1四半期に137億ドルの投資があった昨年を除くと、 2001年のドットコムバブル以来、最も高い数値だ。
昨年の第4四半期の投資額は120億ドルだったので、同じ水準にある。また、今四半期で取引額が100億ドルに届いたのは9四半期連続となる。
「市場環境は不安定でしたが、取引は成立してきました」とBattery Venturesのジェネラル・パートナーを務めるNeeraj Agrawalは言う。「バブルは起きていないと思います」。
PricewaterhouseCoopersのパートナーであるTom Ciccolellaは「数字が出る前まで悲観的な観測が広がっていました」と言う。蓋を開けてみれば「堅調は四半期」だった。PwCはNVCAとMoneytreeと共にこのレポート制作を行った。
最大の投資案件はLyftで10億ドルの資金調達を行った。フロリダに拠点を置く拡張現実スタートアップのMagic Leapは飛び抜けた7億9400万ドルを調達した。続いてSunnova Energy、Uber 、Flatiron Healthが上位5社だった。勝者総取りの様相を呈し、第1四半期に投資された金額の25%を上位10社の案件が占めた。全体では969社が資金調達を行っていた。
ソフトウェア分野で376の取引があり、累計調達額が51億ドルと最も多くの投資金額を集めた。バイオテクノロジー分野ではIPOラッシュがあり、18億ドルを調達。メディア・エンターテイメント分野は3番目に人気のスタートアップのカテゴリーで109社に9億3000万ドルが投資された。
ただ、資金はより経験豊富なスタートアップの方へと流れた。アーリーステージの投資は前四半期と比較すると18%減少した。シードステージの取引数も10%減った。一方、拡大局面のスタートアップへの投資は25%増加し、レイトステージの案件も10%増加した。
このデータに驚いた投資家もいるだろう。多くの投資家は現実を直視すべきと彼らは考えている。「シリコンバレーにはとてつもなく多くのベンチャー資本が過剰供給されています」とGreylockのパートナーであるAshen Chandnaは注意を促す。「全体的にVCも慎重になっていますが、それでも資本の流入が早すぎます。実際、最も優良な企業はベンチャーキャピタルの資金を大量には必要としないのです」。
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