2月12日、東京都が推進しているSociety 5.0実現への取り組みの一環として、「スマート東京シンポジウム&ダイバーシティTOKYOアプリアワード表彰式」が都内で開催された。
ダイバーシティTOKYOアプリアワードは2019年11月から12月にかけて応募を受け付けていたもので、イベント当日には1次審査を通過した団体のプレゼンテーションと最終審査、結果発表と表彰が行われた。
募集テーマは
- 外国人が快適に過ごせるように
- 障がい者がもっと活躍できるように
- 高齢者が不安なく生活できるように
の3つで、「アイディア部門」と「アプリ部門」が設けられた。イベント当日はアイディア部門とアプリ部門の各3組、計6組がプレゼンを披露し、その後の審査を経て賞が決定した。
【アイディア部門】
最優秀賞
「子育て中の外国人の不安をなくす! 予防接種サービス」(株式会社エムティーアイ)
在日外国人にとって子供に予防接種を適切に受けさせることは難しい。母子手帳アプリ「母子モ」を提供する同社が、海外と日本の予防接種の対応、日本のルールに従ったスケジュール、多言語対応などのサービスを提案した。
優秀賞
「住替えくん・馴染めるくん」(GDSC)
高齢になり生活スタイルが変化したために転居したいと思っても、多くの手続きや転居先でのコミュニティ形成などのハードルがある。そこでさまざまなデジタルサービスをパッケージ化して提供しようというアイディア。
優秀賞
「ご近魚さん」川野颯太氏
高齢者が金魚を模したアバターを通じてオンラインで交流するサービスの提案。個人情報を公開せず、簡単なアンケートから同じ悩みを持つ人を知り、共感を得る仕組み。
【アプリ部門】
最優秀賞
「まごチャンネル with SECOM」(セコム株式会社 / 株式会社チカク)
チカクの「まごチャンネル」に、セコムの「みまもりアンテナ(センサー)」をプラスしたみまもりサービスで、2019年12月から提供されている。受賞決定後には記念として、2月28日までの新規購入キャンペーンが始まった。
優秀賞
「Payke(ペイク)」(株式会社Payke)
主に外国人観光客向けのアプリで2015年に提供開始。商品につけられているバーコードをアプリでスキャンすると、多言語で商品説明を見ることができる。インバウンドデータの分析にも役立てられている。
優秀賞
「Mayii(メイアイ)」(大日本印刷株式会社)
“移動に困っている人”と“手助けしたい人”を結びつけるアプリ。2019年7月に公開され、2020年2月7日時点でアプリのダウンロード数は2万5500件、登録者数は7550人だという。
審査委員長の坂村健氏は審査後の講評で「総じて社会的に弱い人をどう助けるかはよく考えられていたが、東京都が持っているデータを利用するとか東京都を窓口とするなど、今後は東京都をもっとうまく利用することを考えてほしい」と述べた。
6団体のプレゼン後、審査発表までの間には「スマート東京シンポジウム」と題して2つの講演があった。
まず東京大学空間情報科学研究センター&生産技術研究所教授の柴崎亮介氏からは、東京をさまざまなデータからとらえたスマートシティのあり方が語られた。都市の価値を高めるために重要な役割を果たすスタートアップについても言及があり、初期段階のスタートアップは東京の東部に多く分布している、全国的に見るとスタートアップも投資家も東京に集中している、海外から日本への投資はまだ少なく国際的な魅力を上げていく必要があるのではないかといった状況が紹介された。
続いて講演したのは東京都の宮坂学副知事で、「スマート東京」へ向けての課題や取り組みが説明された。東京が世界の都市間競争を勝ち抜くためにはデジタルトランスフォーメーションを加速度的に進めていく必要があり、2020年度は前年度比約8倍の158億円の予算をつけているそうだ。
宮坂副知事の講演中には、先端技術の紹介として日本国内ではソフトバンクロボティクスが展開するBoston Dynamics社の四足歩行ロボット「Spot」が軽快に動く様子がデモンストレーションされた。実際の動作のデモは日本では初めてとのことだ。
最後に挨拶に立った東京都の小池百合子知事は「今回のアワードには75件の応募があり、いずれも今のニーズを捉えた提案だった。デジタルトランスフォーメーションが進む中、まず5Gなどのインフラを整える必要があり、そこにどんなコンテンツをのせて都民のニーズに応えるかが重要だと思っている」とスマート東京の実現を目指す考えを述べた。