東北大学大学院医工学研究科、健康維持増進医工学分野の永富良一教授らの研究グループは、荷重センサーを装着したオフィスチェア(スマートチェア)と人工知能解析技術で、日々の腰痛悪化を高い精度で予測することを可能にした。
研究グループは、22人のオフィスワーカーの協力で、3カ月間にわたり4個の荷重センサーを座面下に装着したスマートチェアで仕事をしてもらい、データを収集した。また被験者には、1日3回、タブレットで主観的な腰痛の程度を記録してもらった。
その結果、同じ姿勢を保つこと(姿勢の固定化)を避けるために、人は細かく体を動かしており、それには共通する特定のパターンがあることが発見された。そして、そのパターンが見られなくなると、腰痛が高い確率で悪化することがわかった。このことから、腰痛の発生が予測でき、ストレッチやエクササイズを促すことが可能となる。
これまでは、「実生活におけるさまざまな規則性に乏しい時系列信号の数理モデル化」が難しかった。つまり、座っているときの短時間の不規則な姿勢の変化などを数式化することが困難であったため、「主観的腰痛」の予測はできなかった。その点において、それを可能にした今回の研究は大変に重要だと、同グループは話している。
こうした姿勢の固定化を防ぐ細かい体の動きの発見により、腰痛の他にも、肩こり、頭痛、関節痛などの不定愁訴の要因の解明と対処法の開発が進むとのことだ。