数理アルゴリズム実装を手がける東大発スタートアップ「TRUST SIMITH」は9月25日、金融機関からの融資のみで総額1.1億円の資金調達を実施したと発表した。「技術⼒への⾃負」と「プロジェクト成功への確固たる⾃信」とともに⾦融機関からの融資にこだわっており、2019年1月の創業以来第三者割当増資を一切行っていないという。
TRUST SIMITHは、機械学習・ディープラーニング・数理アルゴリズムなどの最先端技術を実⽤化し、ロボティクス・ドローン・医療・製造業など様々な分野でイノベーションの実現を⽬指すスタートアップ企業。
調達した資金は、優れた研究者の採⽤⼒強化、研究開発に必要な設備投資、知財戦略の遂行に用いる。
同社には、東京⼤学・京都⼤学はじめ、学術レベルにおいてその領域の第⼀⼈者として最先端の研究開発を⾏う研究者が多数在籍。今後、R&D部⾨の取り組みを拡充させるため、社内に技術研究所を創設予定という。優秀な研究者に対し、能⼒に⾒合う適切な報酬設計と働きやすい開発環境の整備を⾏い、研究者の採⽤⼒強化に努めるとしている。
また同社は、ソフトウェアだけでなく、アームロボットやフォークリフトなどハードウェアへの実装までを含めた研究開発をR&D部⾨にて総合的に実施しているという。実証実験に必要な⾃社⼯場の準備や、製品開発に必要な機材の購⼊などにあてる。
さらに、イノベーションの創出、事業競争⼒の強化、組織・基盤の強化などを⽬的として、同社の発明における特許取得や、事業性の⾼い知財を持つ⼤学の研究室および企業様との連携を図っていく。技術⾯における競合優位性を維持しながら、同社だからこそなせる課題解決を追求し続けるとしている。
不確実性の⾼いスタートアップにおいて、創業期からIPOまでのエクイティファイナンスの基本パターンが確⽴されつつある中、無謀な戦略ともとれる「異例の」デットファイナンス(借入金融)に同社がこだわる理由は、「技術⼒への⾃負」と「プロジェクト成功への確固たる⾃信」があるからという。
とりわけAI開発においては、専⾨知識を持たないソフトウェア企業が、概念実証という名⽬のもと成功する⾒込みのないAIプロジェクトを安易に受託し、プロジェクトが失敗に終わるケースがあり、いわゆる「PoC倒れ問題」が近年話題となっている。
同社の経営⽅針は、⾃社技術の押し売りではなく、顧客企業にとっての「リスクの排除」と「利益の最⼤化」に対して責任を持つこととしている。徹底的なヒアリングと、世界中の技術論⽂のサーベイを重ねることで、プロジェクトの成功確率とプロジェクトがもたらす企業様の経済メリットについて事前に⼗分精査し、説明などを行っているという。
また、話題性のある技術であっても、顧客企業にとって投資対効果が⾒合わないケースや、プロジェクトが失敗するリスクを排除しきれないケースにおいては、固辞しているとした。
顧客企業のリスクの排除と利益貢献について徹底的に考え続けた結果、数多くの上場企業や⾦融機関
から信頼を積み上げることができ、創業2期⽬にして、融資のみでの1.1億円の資⾦調達に成功したという。
同社は、クライアントの株価を5年で最低でも2倍、最⼤で10倍以上に成⻑させることにコミットするとしている。