大音量を出さずに家でもクラブやライブ会場のような重低音が聞けたらと思っている音楽好きに朗報だ。東京工業大学発のスタートアップHapbeat合同会社は、音を振動として体に直接伝えるウェアラブル音響装置「hapbeat」を開発している。Hapbeatは本日より、Kickstarterで14万ドルを目標とするクラウドファンディングキャンペーンを開始した。
hapbeatは重低音の振動を糸で体に伝えるウェアラブル・スピーカーだ。hapbeatを使うにはまず、クリップかマグネットで洋服に取り付けるか、ネックストラップで首から端末をぶら下げる。次にhapbeatから巻尺のように糸を端末から引き出し、ウエストに巻きつける。hapbeatとヘッドフォンは有線(イヤフォンジャック)でつなぎ、スマホとhapbeatはBluetoothで通信して音楽を再生する形だ。
hapbeatはモーターを内蔵していて、体に巻きつけた糸を音楽と連動するように伸縮させることで、体の広範囲に振動を伝えるのだという。「hapbeatの特徴は小さな端末でも、大型のスピーカーでしか出せないような重低音も出せることです」とファウンダーでCMOの織田龍人氏は説明する。ただ、ライブ会場などにあるスピーカーと違うのは、スピーカーの場合一方向からしか振動を感じないが、hapbeatの場合は糸を巻いた全方位から振動を感じること、と織田氏は話す。
HapbeatはもともとファウンダーでCEOの山崎勇祐氏が大学院で行っていた研究活動から生まれたプロダクトだ。山崎氏は長谷川晶一研究室で、ライブ感を提供するオーディオ・デバイスを開発していて、2017年1月にHapbeat合同会社を東京工業大学長谷川晶一准教授と東工大の学生である織田氏とともに設立した。2017年2月にはDMM.male AKIBAによるIoTプロトタイプの製品化をサポートするOpen Challengeの支援企業に採択されている。
今日から始まるKickstarterキャンペーンでは、199ドルからhapbeatを支援できる。Kickstarterのキャンペーンを成功させたら、2017年8月ごろまでに製品版を完成させ、11月にはクラウドファンディング支援者に製品を発送する計画だという。
実際のところスマホを持って、頭にヘッドフォン、ウエストにhapbeatを装着するとなるとちょっと重装備になってしまう気もするが、例えばVRの体験をより没入的にする新しい音の視聴方法となるかもしれない。