格安ホテル運営スタートアップのOyo(オヨ)は、2019年3月31日に終了する事業年度の世界全体の売上高9億5100万ドル(約1050億円)に対し損失は3億3500万ドル(約370億円)になったと発表した。インドに本社を置く同社は積極的な拡大に慎重になっており、今後の支出削減を約束した。
創業6年目を迎える同社の2019年度の売上高は2018年3月31日に終了した事業年度(2018年度)から2億1100万ドル(約230億円)増加した。OYO Hotels&HomesのグローバルCFOであるAbhishek Gupta(アビシェク・グプタ)氏は声明で「当社の売上高の成長と、今年は利益計上へ向かうという明確な目標は方向性が一致している」と述べた。
だが損失も拡大した。2019年度の連結純損失は3億3500万ドル(約370億円)で、2018年度の5200万ドル(約57億円)から6倍以上拡大した。インドでは、2019年度に6億400万ドル(約660億円)の売上高を計上し(2018年度から2.9倍に増加)、純損失を2019年度の売上高の14%(前年度は24%)の8300万ドル(約91億円)に減らすことができた。
インドの法律は、すべてのスタートアップや国際的な企業に財務情報を毎年開示することを義務付けている。ほとんどの会社は10月上旬に財務報告を提出する。
Oyoは現在、80カ国800都市に4万3000を超えるホテルで100万室以上を運営している。中国を含む海外市場での事業拡大が損失の要因だと同社は説明した。同社は2018年、世界で最も人口の多い中国に進出し、同国はすでに同社にとって2番目に大きい市場になったという。
「海外市場は世界全体の売上高の36.5%を占める。すでに粗利率の上昇が見られるインドのような成熟市場で収益性が一貫して改善している一方で、来年度(2020年度)は当社にとっての新市場でも同じ財政規律を達成することを決意した」と同社は声明で述べた。
かつて同社の最高経営責任者を務め、現在取締役会のメンバーであるAditya Ghosh(アディティア・ゴーシュ)氏は記者らとの電話で「Oyoは昨年多くの市場に参入して成長ステージに突入し、投資を必要としている」語った。特に中国について同氏は「他の多くの企業と同様、一部のホテル閉鎖に至った新型コロナウイルスの発生を注視している」と語った。
同氏はまた「Oyoが複数の市場から撤退し、インドでも約200の都市から撤退した」と述べた。「当社は現在新しい市場への拡大を検討していない」と同氏は付け加えた。
現在は粗利率の改善に取り組んでいる。インドの粗利率は、2018年度の10.6%から14.7%に上昇した。
Oyoはここ数カ月間精査されている。一部のアナリストは同社の積極的な拡大は持続可能ではないと主張している。同社は独立した格安ホテルを改装してOyoブランドに変えているが、2020年初めにNew York Times(ニューヨークタイムズ)が報じたように、ホテルを新たに登録したように見せるうわべだけの方法にも関与した。何人かのホテル経営者は、Oyoが契約を順守せず、支払いも残っていると主張する。
2019年、Airbnb(エアビーアンドビー)も投資しているOyoは、欧州や米国などの市場に進出した。欧州のバケーションレンタル市場を狙って、Axel SpringerからLeisure Groupを4億1500万ドル(約460億円)で買収した後、このビジネスにさらに3億3500万ドル(約370億円)を投資する計画を発表した。同月、同社として米国で最初の不動産購入となる、約1億3500万ドル(約150億円)でのHooters Casino Hotel Las Vegas買収を発表した。
また、ソフトバンクと提携し日本にも進出した。Bloomberg(ブルームバーグ)は2月16日、Oyoが現在、日本国内に約1万2000の部屋を持っていると報じた。しかし100万という野心的な目標には遠く及ばない。
Oyoの幹部はこの数カ月、同社の成長があまりに急激なため、多くの「創業初期に特有の問題」に直面していることを認めた。同社は過去3カ月間、主にインドで少なくとも3000人の従業員を解雇した。ゴーシュ氏によると、同社はまだ新しいポジションの採用を続けているが、データサイエンスなどの重要な分野でのみ採用しているという。
「コーポレートガバナンスに注力するとともに、高いパフォーマンスを生み出し従業員を優先する企業文化を構築して、当社の持続可能な成長を次の段階でも推し進める」とグプタ氏は述べた。
画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)