機械学習を利用しモバイル広告詐欺に対抗するScalarrが約7.8億円調達

機械学習を利用して広告詐欺に対抗するスタートアップのScalarrが、シリーズAで750万ドル(約7億8000万円)を調達したと発表した。

ScalarrはCEOのInna Ushakova(インナ・ウシャコワ)氏とCPOのYuriy Yashunin(ユリイ・ヤシュニン)氏によって設立された企業で、2人は以前、モバイルマーケティングエージェンシーのZennaを率いていた。ウシャコワ氏はZennaに在籍していた時に、広告詐欺がビジネスに真の脅威をもたらすまでに成長していることに気づいたと語っている。

同時に、チームは既存の不正防止ソリューションのどれにも魅力を感じていなかったため、独自のテクノロジーを構築した。結局、彼らはZennaを完全に閉鎖し、チーム全体をScalarrへ移行した。

Scalarrの製品には、広告主が広告に入札する前に不正行為を検出するAutoBlockや、アドテクプラットフォーム(アドエクスチェンジ、デマンドサイドプラットフォーム、サプライサイドプラットフォームを含む)で使用されるDeepViewなどがある。

Scalarrによると、市場に出回っている既存の製品よりも60%多くの不正を検知することができ、2020年には顧客の広告詐欺の払い戻し金を2200万ドル(約23億円)節約できたという。これはスタートアップが機械学習技術を幅広く活用していることが大きな要因だと、ウシャコワ氏は述べている。

また大規模な広告配信企業は詐欺対策プロダクトを追加しているが、それは焦点ではないとウシャコワ氏はつけ加えた。歴史的に、企業は詐欺行為を示唆する行動のリストとなる「ルールベースのアプローチ」を通じて詐欺を検出しようとしてきたが、どんなに迅速にルールを作成しても、詐欺師たちに追いつくのは困難だ。

「不正行為は常に進化しています」とウシャコワ氏は語る。「『トムとジェリー』のゲームのようなもので、詐欺師は常に先を行っており、私たちは彼らを捕まえようとしています」。

機械学習が効果的な理由については、「次のステップを予測するのに役立つのはML(機械学習)だけで、MLを使えば分類されていない異常を検出できるはず。その直後に、我々のアナリティクスがそれらの異常を確認し、何か統計的に重要なのかを判断できるようになるはずです」と語った。

ScalarrのシリーズAはEuropean Bank of Reconstruction and Developmentが主導し、TMT Investments、OTB Ventures、Speedinvestが参加した。同社は特にアジアでのプレゼンスを拡大し、製品の開発を継続するために資金を使用する。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Scalarr機械学習資金調達

画像クレジット:Mix3r / Shutterstock

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(文:Anthony Ha、翻訳:塚本直樹 / Twitter

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TechCrunch Japan

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