SnapchatやFacebookに続いて、Periscopeが独自のARセルフィーマスクを開発している。初回リリースでは、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプのマスクが用意され、大統領選に合わせて来週公開される予定だ。最新バージョンのiOSアプリでセルフィーモードを選ぶと、画面下部からマスクを選べるようになる。アイコンをタップすると自動的にマスクがユーザーの顔に貼り付けられるようになっており、友だちと並んでカメラに写れば、両方のマスクを同時に利用することもできる。
Twitterの広報担当者は、「今回発表したマスクのことは、選挙の話を持ち出す楽しいきっかけや、投票の呼びかけといったくらいに考えています」と話し、Periscope CEOのKayvon Beykpourも「二人のマスクは笑えるし、その目的も理にかなっています」と語る。
Periscopeによれば、同社はこれ以外のクリエイティブツールの開発も進めており、「私たちは、ユーザーが人の心をつかむライブビデオを制作する上で、助けとなるようなツールを開発しています。大統領選マスクは、その気楽な一例にすぎません。もっと高度なツールを今後公開していくのが楽しみです」と発表している。なお、Periscopeは今年の4月に、最初のクリエイティブツールとなるお絵かき機能をアプリに追加していた。また、大統領選マスクはAndroidアプリには対応していないが、今後発表される新しいツールはAndroidにも対応予定だ。
大統領選はすぐそこだ!ヒラリー・クリントンかドナルド・トランプのマスクでライブ配信をしよう。投票へ行くのも忘れずに。
他のサービスで見られるようなイラストっぽいマスクとは違い、Periscopeのヒラリーとトランプのマスクは、口だけ動く写真をユーザーの顔に貼り付けるようなつくりになっている。実際にPeriscopeの発表には、次のように写真家へのクレジットが表示されている。“Masks image credit:“Hillary Clinton with Supporters” by Gage Skidmore, used under CC-BY-SA 2.0/ modified from original; “Donald Trump” by Gage Skidmore, used under CC-BY-SA 2.0/ modified from original.”
Beykpourが「腹話術人形スタイル」と表現する大統領選マスクは、JibJabのマンガのようにも見える。これについて彼に尋ねると、「JibJabは楽しくて面白いですからね」と話していた。
セルフィーマスクを使えば顔を隠すことができるため、ユーザーがPeriscope上でライブ配信するハードルが下がるかもしれない。恥ずかしさはユーザーをカメラの前から遠ざけている1番の理由で、だからこそSnapchatはマスクを主要機能としたのだ。同様に、Facebookはセルフィーマスク制作を行うMSQRDを買収してすぐにSnapchatをコピーし、Facebook Liveにまでマスク機能を導入した。
これでPeriscopeは他のサービスに追いつけるようになった。これまでは真剣な市民ジャーナリズムや専門家の質疑応答に利用されることの多かったPeriscopeだが、もっと遊び心のある機能を増やすことで一般層を獲得することができるかもしれない。そして今後Periscopeがマスクを追加したり、新たにフィルターをローンチしたりすれば、ユーザーは髪の調子が悪いときや、顔がやつれているときにもストリーミングできるようになる。
ここで問題となるのは、Periscopeがどこまで他社についていけるかということだ。SnapchatとFacebookは、どちらもセルフィーマスクを開発するスタートアップを買収することでスタートから勢いをつけ、さらにその後も積極的にARエンジニアを採用している。一方で、財政的に苦しいTwitterの子会社で、リソースの限られているPeriscopeは、正確な物体認識・追跡技術を開発したり、面白いマスクを素早くたくさんリリースしたりする力では、他社に劣っているかもしれない。
しかし、少なくとも初めてのマスクを公開することで、Perisocopeが今後AR技術を採用していくという姿を見せることができ、それが結果的に他社とのギャップを埋め、AR関連の技術をもったスタッフの採用につながるかもしれない。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)