世界中のエンジニアチームに仕事を発注できるサービス「セカイラボ」が2月3日にローンチした。国内のIT人材不足が指摘される中、中国やベトナムなど費用対効果の高い地域のエンジニアチームに対して、日本語で大規模な開発を依頼できるのが特徴。運営するのは音楽配信サービスやゲーム開発を手がけるモンスター・ラボのグループ会社で、シンガポールに本拠を置くSekai Lab。サービス開始1カ月で8カ国、1000人、200チームの受注体制を整えたいという。
情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2013」(PDF)によれば、新規事業の開発を担当する人材が不足していると答えた企業は実に9割以上。最近ではネット上で発注者と受注者を結ぶクラウドソーシングでもエンジニアと仕事をやりとりすることがあるが、Sekai Lab代表取締役COOの大熊一慶氏は、「クラウドソーシングの仕事の8割は受発注者が1対1でやりとりをする50万円以下のプロジェクト。中規模以上の案件を依頼することは難しい」と指摘する。
そこでSekai Labは、中国やアジアをはじめとする8カ国のエンジニアのチームに対して、日本語だけで大規模な開発を安価に発注できるプラットフォームを構築。サイト上では「Webサービス」や「iPhoneアプリ」といったジャンル、「iOS」や「Unity」といったスキル、キーワードで最適なエンジニアチームを率いるリーダーを検索し、パートナーシップを組むことができる。
検索対象となるチームには必ず日本語が話せる人材がいるため、開発のやりとりも日本語で対応可能。エンジニアチームは当初、日本と海外に開発拠点がある企業が対象だが、今後は海外のみに拠点を構える企業も集めていく。Sekai Labは、プラットフォームを用意するだけでなく、企画や設計、検証など海外開発でトラブルになりがちな部分をサポートする。
発注者のメインターゲットはウェブサービスの新規事業を手がける大手企業。発注料金としては、日本で1人月70〜80万円くらいの費用が、ベトナムだと18万円、ミャンマーだと10万円程度に抑えられるのだという。Sekai Labはエンジニアチームに対して、受注金額の9〜12%を手数料として受け取る。「開発の全範囲で手厚くサポートするため、クラウドソーシングサービスの手数料と比べて価格は高めに設定している」(大熊氏)。発注企業の手数料は無料。
システム開発や運用管理を海外事業者に委託するオフショア開発は、人件費が高い日本では安価な労働力を大量に得られるのがメリットだ。その反面、大熊氏は「言われたものを作るだけで、クリエイティブなサービスを作るイメージがない」と指摘する。Sekai Labの親会社であるモンスター・ラボは、ウェブサービスの新規事業を企画から提案・受注したり、実際に海外で開発してきたノウハウや実績が強みといい、「安かろう悪かろうのイメージがあるオフショア開発を再定義したい」と大熊氏は意気込んでいる。