無名のユニコーンたち:資金がない状態から始まった35の大企業ーーVCは起業に必須ではない

【編集部注】著者のJoe FlahertyはFounder CollectiveのContent & Communityディレクターである。

ベンチャーキャピタルは麻薬だ、そしてVCでクスリ漬けになる可能性もある。しかしほとんどの創業者たちにとってそれは贅沢な悩みだ。より頻繁に投資家たちが耳にする質問は「私のスタートアップを支えてくれるVCを見つけるにはどうすればいいですか?」というものだ。こうした創業者たちは、過剰資本が彼らのIPOをどれほど厄介なものにするのかを心配してはいない。とにかく彼らは最初の条件規定書(term sheet)に署名してくれる誰かを(誰でもいいから)得ようと躍起になっている。

世の中の創業者たちの間で広く信じられているものの1つに、ベンチャーキャピタルは成功の前兆だというものがある。VCは多くの成功したテクノロジーベンチャーに見られる共通点だが、必須の条件というわけではない。特に初期段階では。

起業家は、ほとんどまたはまったく資本のない状態で、かなりのことを成し遂げることができる。資本によって洞察に富んだ会社になるわけではない。創造的に1ドルを10ドルを変えられないのに、何故100万ドルを1000万ドルにできると思えるのか?

スタートアップが進むことのできる方法を説明するために、以下に数千ドルあるいは額の汗だけを資本に始まった35社の例を示す。これらはみな私が「効率的な起業家精神」と呼ぶもののお手本となったものたちだ。

これらの企業の多くは、その後10億ドルの評価額を得ている、その中には10億ドルの収益を上げているものもある。しかしいずれもシードラウンドとみなされるもの以外で始まった企業はない。これらのスタートアップのほとんどは後にVCから資金を調達したものの、それはもう投資家からの資金調達の有無に関わらず成功できるという事実を確立したあとに過ぎない。現在でも、彼らの多くは広くは知られていない。彼らは、ハイテク業界の目に見えないユニコーンなのだ。

なので、投資家たちとのミーティングを慌てて予定する前に、これらのストーリーを読んで欲しい。これらは多くの創業者たちが抱いているVC中心の見方に対する釣り合いを取らせるものであり、資金調達について考える際に別の方法を提供するものだ。

以下に続くのは、こうした企業たちの簡単で簡潔な説明(彼らがとったアプローチ別に分類されている)と、それらの詳細を読むことができるストーリーへのリンクだ。忘れないで欲しい。ベンチャーキャピタルを受け入れることは、強制ではなく選択でなければならないのだ。これらの会社は、その方法を見せてくれる。

何かを生み出し、その後お金を調達する

ほとんどの業界で、もし顧客の本当の問題を解決してその費用を求めることができるなら、始めるためにベンチャーキャピタルは必要ではない。これについて考える際には3つの方法がある:

ワークフローの自動化

有益なプロダクトを生み出す最も簡単な方法は、日々のワークフローの一部を自動化することだ。これにより、構築しているものへの需要が証明され、プロジェクトのための資金調達源が確実に得られる。

MailChimp :共同創業者/CEOのBen Chestnutが、2000年にデザインコンサルティング事業を経営していたときに、電子メールニュースレターを発行したいという顧客が連続してやって来た。唯一の問題は、彼がそれらをデザインすることを面倒だと思っていたことだった。そこで、チームを退屈させないために、彼はプロセスを合理化するツールを作ることにした。 年商4億ドルのビジネスMailChimpは、このようにして生まれた。

Lynda:Lynda Weinmanは、1990年代後半に、ウェブデザイナー向けのツールの教師としてスタートした。書店でのセミナーは退屈だったので、彼女はやがて生徒たちをより良く指導できるトレーニング動画の作成を始めた。次々に作られたチュートリアルによって、彼女の会社はソフトウェア開発者とデザイナーたちのスキル向上を手助けして来た。彼女はコンテンツライブラリの構築を20年続け、その技術資産の蓄積はLinkedInが15億ドルで買収するまでに成長することができた。

資本効率の高い製品から始める

多くの起業家は業界リーダーに真正面から挑み、通常は失敗に終わることになる。これは特にハードウェアの場合に当てはまる。Appleのような会社と競争しようとする代わりに、こうした向こう意気の強いスタートアップたちはRadioShackによって残されたギャップを埋め、敬意を受け見習われる価値のあるビジネスを生み出した。

AdaFruit Industries:Limor Friedは、MITの学生の時代に、既製の部品で構成されたDIYキットを提供することで、彼女のDIY eコーマス帝国を開始した。Friedはエレクトロニクス商店で見られるものと同じビルディングブロックを商品化したものの、同時にユニークなコンテンツも用意して、スペースインベーダー筐体のレプリカを、ハンダ付けしたくなるような気にさせた。現在、彼女は85人の従業員を抱え、年間3300万ドルを稼いでいる。

SparkFunAdaFruitと同様に、Nathan Seidleが大学寮の部屋で、エレクトロニクスキットや奇妙な部品を、エキゾチックな新しいセンサーやシステムを試したいエンジニア仲間向けに売り始めたのが、SparkFunの始まりだ。現在、彼のeコマース帝国は154人を雇用しており、年間収益は3200万ドルだ。

既存の問題を解決し、既存のビジネスモデルを活用する

スタートアップはビジネスモデルの面で特に革新的である必要はない。より現代的な技術プラットフォーム、またはUXレイヤーの上に優れた製品を構築すれば十分だ。ここで見る企業は、どれも車輪の再発明を行なってはおらず、全てが真のバリューを生み出している。

Braintree Payments :オンラインで詐欺師に騙されることなく、お金を交換することは、ウェブ上での最も古い問題の1つだ。取引に関わる全ての当事者たちは、素晴らしい体験のためなら、公平な「税金」を支払うことには喜んで同意する。Braintreeはより良い技術ソリューションを構築し、8億ドルの買収に先行する、2回のVCラウンドで6900万ドルを調達する前に、4年間に渡ってそうした取引からの収益で生き延びていた。

Shopify:Shopifyの創業者は、スノーボーダーのためのeコマースサイトを開始したときに、ショッピングカートのソリューションを探していた 。しかし適当なものを見つけることができなかった彼らは、自分たちの痒みは自分たちで掻くことを決め、当時ホットだったRuby on Railsフレームワーク上に特注ソリューションを構築した。これは、より多くの人々にとっても完璧な解決策であることが判明し、創業者たちはそれが生み出す収入によって、6年の間独立したビジネスを運営していた。彼らは最終的にVCから資金を調達し、その後IPOを行い10億ドルの評価を受けた。

自立ルール

多くの起業家は「CEOを務める」という時間を無駄にしながら、戦略を策定しビジネスがどのように成長するのかの夢の組織図を描きがちだ。それをしてはならない。その代わり、自分が持っているリソースだけを使って、持っているアイデアを前進させるために、今日できることを見つけよう。

Ipsy:一般女性向けに、化粧品の詰め合わせボックスを、毎月サブスクリプションベースで送るサービスは、Birchboxのような先駆者のおかげで成長産業となっている。YouTubeスターのMichelle Phanは、先行者としての優位性は持っていなかったが、オンライン有名人(800万人以上のYouTubeフォロワー)としての地位、化粧品ブランドとのコネ、そして50万ドル以下のシード資金を活用して、化粧品サブスクリプションスタートアップを開始した。その後VCから1億ドルを調達する前に売り上げは1億5000万ドルに達している。

資本によって洞察に富んだ会社になるわけではない。

ShutterStock:Jon Oringerはプロのソフトウェア開発者で、アマチュア写真家でもあった。彼はこのスキルを組み合わせて、個人フォトライブラリから3万枚写真を使いフォトストックサービスを開始した。現在の価値は20億ドルである。資本効率が報われて、ついには彼を本当に自力で辿り着いた億万長者に変えた。

SimpliSafe:人々はハードウェアビジネスをブートストラップしようとする考えを嘲笑するが、SimpliSafeのChad Lauransはそれを実行した。彼は友人や家族から少額の資金を調達し、その後8年間に渡って家庭用セキュリティビジネスを構築して来た。お金を節約するために、最初のプロトタイプは文字通り自分でハンダ付けを行った。8年後、ビジネスは数十万の顧客を獲得し、数億ドルの収入を上げ、Sequoiaから5700万ドルのVC資金を手に入れた

どこから集めてもお金はお金 … (誰のお金も緑色)

資金調達は、数百万ドルが一度にやってくるとは限らない。創業者たちは助成金、インキュベーター、エンジェル、あるいはプリセールスなどからお金をかき集めることが可能だ。もっともやり手の起業家たちは、プロダクトを提供する前から支払いを集めることのできるビジネスモデルをデザインし、顧客を成長資金の源泉にする。

Tough Mudder:陸上競技起業家のWill Deanは貯金の7000ドルを使って、年商1億ドル以上の会社を生み出した。その秘密は、レースへの事前登録を販売し、そこで集まった売上を運転資金として、Tough Mudderを有名にした電化障害物コースを建設したのだ。

CoolMiniOrNot:CoolMiniOrNotは、マニア同士がDungeons&Dragonsのフィギュアをペイントする能力を自慢し合うウェブサイトとして始まった。最終的にサイトの創設者たちは、Kickstarterをチャネルとして活用して、独自のゲームをデザインして配布することを決めた。彼らは27回のKickstarterキャンペーンを実施し、3594万3270ドルの非希釈的(non-dilutive)資金を調達した。ゲームは続く。

売れ!売れ!売れ!

通常、最良の資金源は顧客だ。売ることには2つの利点がある。まず、まず直ぐにキャッシュレジスタを鳴らすことができること。第2に、顧客と共感するものをすばやく学び、それらの洞察を使って商品を洗練することができることだ。

ScentsyDNVB(Digitally-Native Vertical Brands)は大流行りだが、そうしたものは妙に凝った紹介ビデオやFacebookでの広告に過度に依存して売上を上げている。Scentsyは広告を買う余裕がなかった時代には、不要物交換会でロウソクを売っていた。それは格好良いものではなかったが、創業者たちは買い手と共鳴するための確かなメッセージを受け取っていた。今では年間収入は5億4500万ドルを超えている。

CarGurus:このアプリは、データ分析を活用して、顧客が中古車に関する最良の取引を見つけるのに役立つものだ。しかし同社のCEOは、年間5000万ドルの収益と利益率の高さの理由を、同社がライフサイクルの早い段階で営業チームを雇用したからだと言う。同社の350人近くの従業員のほぼ半数が、ソフトウェアを作成するのではなく、セールス電話をかけている。

LootCrate:LootCrate(毎月ギーク商品詰め合わせが届く定期便サービス)は制度的な資金調達を行なう以前に、既に60万人以上の顧客と1億ドルの以上の収入があった。彼らが非常に効率的だった理由の一部は、同社が設立した最初の週末から、顧客に課金を開始したことだ。創業者たちはハッカソンでランディングページをセットアップし、注文を集め、その資金を使ってパッケージを埋めるギークな商品を購入した。

マーケティングをケチる

スタートアップのマーケティング担当者は、無計画なブランドマーケティングで時間を無駄にしたくないだろう。効率的な起業家たちは、即座に付加価値のあるキャンペーンを必要としている。

Wayfair:この家庭用品のeコマース会社は、ブランド広告をスキップし、一般的な検索用語に完全に一致する何百ものドメイン名を購入したおかげで、最初の営業月から利益を上げることができた。このモデルは、最終的には同社が公開直前にシリーズAで1億6500万ドルを調達し、40億ドルの時価総額となるまで、10年に渡る利益性の高い成長を支えた。

創造的に1ドルを10ドルを変えられないのに、何故100万ドルを1000万ドルにできると思えるのか?

Cards Against Humanity:Kickstarterからのわずか1万5700ドルの資金で、Cards Against Humanityチームは最初の年に合計1200万ドルとなるビジネスを作り上げた。彼らはまた、一連の抜け目ないマーケティング上の妙技を披露した。牛の糞ピカソ作品の断片トランプ後のアメリカの虚無感を表現する大きな穴、 そしてトランプからの「緊急避難」バッグを販売し、さらに何の見返りもなしにお金を送ることを募った。これらのプロモーションは安く実行することはできないが、支払ったコストに見合う収入を得ることができて、一方沢山のフリーメディアに掲載して貰うこともできる。

GoFundMe:バイラルマーケティングはビジネスモデルのおまけとして扱われる場合には、当然ながら真面目に取り扱われることはないが、ビジネスモデルにきちんと統合された場合には非常にパワフルな道具となる。超効率的なコンバージョン率最適化手法(CRO:conversion rate optimization)と組み合わせることで、それは無敵なものになる可能性がある。GoFundMeの創業者たちは、このペアの力を使って、ビジネスを約6億ドルで評価される時点までブートストラップすることができた。

効率 > 資金

スタートアップは、しばしば彼らが調達した資金によって評価される。しかし、もっと重要なことは、それらの企業がいかに効率的に資金を使用しているかを尋ねることだ。効率性とは、ひたすら倹約するという意味ではない。その代わり、本質的に資本を組み合わせることでより効率的になる、テクノロジーもしくはビジネスモデルを中心にしたビジネスを指向する起業家たちを見つけることだ。

PaintNite:画家のモネとメルローの赤ワインを組み合わせるという考えはしばらく存在していたが、PaintNiteの創始者はこのモデルをより費用対効果の高いものにしたいと考えた。他の競合相手が、動きが遅く高価なフランチャイズセールスモデルに頼っていたのに対して、PaintNiteはアート教師たちと平日にワインを売りたいと思っていたバーにペアを組ませて、ベンチャーキャピタルから調達を行なう前年には3000万ドルの収益を上げるビジネスを作り上げた。

Plenty of Fish:2003年に設立されたこの出会い系サイトは機能も見かけも10年間ほとんど変化しなかった。他のサイトには、より多くの機能、鮮やかなグラフィックス、豊富なベンチャー資金が注ぎ込まれていたが、Plenty of Fishは無料で、そのリソースの大部分をスパムアカウントとの戦いに費やしていた。Craigslistと共に、Plenty of Fishの最大の資産は、「良質の魚がいる池だ」という評判だ。同社は時間の経過とともにサイトを改良したが、大量の資本注入は必要としなかった。最終的に同社は、5億7500万ドルで売却された。

Mojang:Minecraftの背後にいるレンガ職人たちは決してベンチャーキャピタルの資金調達を行わなかった。たった50人の従業員で、Microsoftに買収される前には、利益で10億ドル近くを稼いでいた。このスウェーデンのスタジオは、Zyngaにインスパイアされたソーシャルスパミングや略奪的な小規模取引のような流行には決して巻き込まれることはなかった。Minecraftはユーザーに定額料金を請求することで成長し、その結果25億ドルの買収が行われた。

幸運は”退屈”を好む

退屈は価値判断ではない。資本なしでなんとか成長できた、最も印象的で成功した企業の多くが、差し迫ってはいるものの、ある意味つまらない問題を解決することで繁栄してきた。もし難しい問題を解決すれば、顧客はそれに喜んで資金を提供する。

  • SurveyMonkeyは90年代のドットコムバブルで設立されて、同類のKosmoのような破壊力は持っていないと思われていたが、会社としてはより耐久性があった。同社はドットコムのクラッシュを生きのび、着実に9桁のランレートになるまでに成長した。開始から11年経って、やっと1億ドルを調達しただけだ。
  • ProtolabsはVistaprintが名刺作成に使っている、プラスチック射出成形を行なっている。現在の評価額は12億ドルである。
  • 13億ドルの価値を持つCventは、イベント管理ツールを開発し、 建設管理を行うTexturaは、6億63300万ドルで買収された。どちらのマーケットもホットで流行っているものとは思われていない。
  • Grasshopperは、15万の顧客と3000万ドル以上の年間収入を持つ電話ネットワーク会社だが、VCに関わったことはなく、最終的にはCitrixに買収された。
  • EpicはJudith Faulknerによって1979年に設立された。ウィスコンシン州に拠点を置くこの電子カルテプロバイダは、おそらく今日稼働している自己資金だけで大きくなった最大のソフトウェア会社である可能性がある。
  • eClinicalWorksは、世の中が「速く成長しよう」と声を揃えていた1999年に設立された。同時代の企業の多くがクラッシュし燃え尽きている。臨床データを管理するという、退屈だが利益を生む作業に力を注ぐことで、会社は生き残り、現在は4000人以上の従業員を抱え、年に3億2000万ドルの収益を生み出している。
  • Unityは、ゲーム開発のなかの(クロスプラットフォームや「バンプマッピング」などの)あらゆる退屈な部分にフォーカスすることで、モバイルゲーム産業のバックボーンとなることができた。彼らは資金調達をすることなく、何年も過ごして来たが、現在は15億ドル以上の評価を与えられており、他の多くのブランドゲームよりも成功している。
  • GitHubは、バージョン管理から苦痛を取り除き、資金調達前に既に、ハイテクエコシステムの重要な一部となっていた。
  • Qualtricsは、学校や企業の調査を管理するためのツールとして、ユタ州の地下室でスタートし、今では1000人の従業員を抱え、年に1億ドルの利益を掻き集める。

ファウンディングを受けられないものは幸いである

資本調達がほとんど不可能なときもある。私たちは数千万ドルの収益を上げ、3桁の成長率を達成し、その他の利点を持ちながら、少額の資金調達にさえ苦労している企業を見てきている。幸いなことに、このようなスタートアップは、このような明らかな不利な条件にも関わらず、最終的には勝つ傾向がある。

Atlassian:シリコンバレー、ニューヨーク、ロスアンゼルス、ボストンの外でスタートアップを始める利点の1つは、VCがあまりないことだ。これは呪い言葉のように聞こえるかもしれない。だが結局のところ、資金のアクセスが得られないのなら、それが何の役に立つというのだろう。それは変装した祝福かもしれないのだ。

このような孤立は、調達した何百万ドルで何をしようかと考える空想からあなたを守り、あなたの目の前にいる、実際にお金を払ってくれる顧客を幸せにするように強制する。オーストラリアに拠点を置くAtlassianは、自力で40億ドルの時価総額へと上った。もし同社がより安易な資金調達を行なうことができていたら、低品質の成長を追いかけ、いかに効率的に成長するかを見出す前に沈んでいた可能性がある。

スタートアップを始めて規模を拡大するのに、資金提供者たちからの許可は必要ない。

Campaign Monitor:資本効率の高い企業の奇妙な特徴の1つは、資金調達の最初のラウンドが、IPOからの収益に近いような、目立った金額になる傾向があることだ。Campaign Monitorの場合、最初の資金調達ラウンドの金額は、2億5000万ドルだった。 シドニーに拠点を置くCampaign Monitorは、ベンチャーキャピタルへのアクセスが容易ではなかったため、ビジネスを自力で始めて、ユニークなテクノロジーを構築した。そのテクノロジーは、Disney、Coca-Cola、そしてBuzzfeedなどへ優れた電子メール解析機能を提供するのものだった。2億5000万ドルの資金調達が、会社を助けるのか傷つけるのかは、やがてはっきりすることだろう。しかしそれは彼らのこれまでの成長に対する確かな評価の1つなのだ。

The Trade Desk:創業者のJeff Greenはプログラム広告業界を発展させるために独自の見解を持っていたが、現代的なアドテックの資金調達サイクルの終盤になってThe Trade Deskを開始した。この市場の過剰資本化は、投資家が悪いパフォーマーによって燃え尽きることと相まって、企業がそのライフサイクルを通した資金調達のあらゆるラウンドで苦労することになった。Greenは、申し分のないスタートアップCEOであり、同社の最初の6年間でベンチャーキャピタルから2640万ドルだけを調達し、ナスダックで取引される10億ドルの事業へと転換した。でもどうやって?より少ない資金を持つという制約を受け入れることで、最高のリターン活動に焦点を当て、資金の注入よりもむしろアイデアで動くイノベーションの文化を構築したのだ(情報開示:Founder CollectiveはThe Trade Deskの投資者の1つである)。

VCは完璧ではないし、最善のVCでも確かに思えるアイデアを見逃してしまうこともある。創業者たちがかつて、投資家たちに対して、やがて10億ドルのビジネスに育ったビジネスを売り込むことができなかった話を耳にすることは驚くほど普通のことなのだ。AppLovinの創業者Adam Foroughiは、その事業を14億ドルで売却したが、収益が多くてもベンチャーキャピタルから資金調達をすることは困難だった。「合理的な評価額(おそらく400万から500万ドル)だと思った金額では投資家を見つけることができませんでした。1年目の終わりまでに、私たちは利益を上げるようになっていて、月の収益は100万ドルを超えていました」。残りは、彼らが言うように、歴史だ。

覚えておくこと:VCを中心としたビジネスのデザインは避ける

あまりにも多くの創業者たちが、創業1日目からその事業をベンチャーキャピタル中心に考えて始める。かつてスタートアップは、何かを形作ったあと、お金の調達を考えたものだ。しかし今日では、彼らは何かを形作るためにお金を調達しようとする。創薬や航空機開発をしようとしているのでなければ、これは通常間違った判断だ。実際、リソースを使わずに前進することは、VCがあなたの会社に関心を持つようにするための最良の方法だ。上記で述べた企業たちは長期間資金を調達しないことを選択したが、彼らがそうしたときには、投資家に対する選択肢が生まれ、条件を設定することができた。

私たちのアドバイスは、ビジネスを未来永劫、自己資金だけでブートストラップせよというものではない。ベンチャーキャピタルは、AppleからZapposに至るまで、ほぼすべての大手テック企業に資金を供給してきた。単に、始めるためにはお金はいらないのだ、ということだけを覚えていて欲しい。スタートアップを始めて規模を拡大するのに、資金提供者たちからの許可は必要ない。したがって、VCが次にあなたに「合格です」と言ったときには、次の3つの原則を覚えていて欲しい。

  • 最初に資金がなくても、テクノロジーを武器にしたビジネスを離陸させることは可能だ。
  • 僅かな資金でテクノロジービジネスを迅速に拡張することは可能だ。
  • 彼らが取る資本の量を制限することが、創業者の最大の関心事であることがよくある。

自己資金で並外れた成果を出しつつある企業をご存知なら、是非お知らせ願いたい。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。