インバウンド旅行者向けアプリの「WAmazingアプリ」を提供するWAmazingは9月7日、リード投資家のANRIとBEENEXT、およびSBIインベストメント、みずほキャピタル、Sony Innovation Fund、BEENOS、オプトベンチャーズ、静岡キャピタルなどから総額約10億円の資金調達を実施した。
なお、エンジェル投資家の青柳直樹氏、有安伸宏氏らも本ラウンドに参加している。
同社が手がけるWAmazingアプリ(iOS/Android)は、インバウンド旅行者向けにさまざまなサービスを提供するモバイルアプリだ。主な機能として、タクシー配車、日本での旅行ツアーやアクティビティの予約手配と決算機能、そして宿泊施設の予約機能などがある。
宿泊施設予約は8月14日から始まったばかりの新しい機能だが、すでに国内1万軒以上の宿泊施設を予約することができるという。
WAmazing代表取締役の加藤史子氏は、この新しい機能について「現在、WAmazingのユーザーの日本滞在平均日数は6日間程度。宿泊は、ほぼすべてのユーザーからニーズがある分野だ。宿泊場所が明確になることで、そこまでの交通や周辺観光などに展開しやすいことから、導入を決めた」と話す。
WAmazingアプリの機能については、こちらの記事も参考にしていただきたい。
無料SIMカードが集客のカギ。9月からは中部国際空港でも
インバウンド旅行者向けに魅力的な機能を提供するWAmazing。しかし、WAmazingの一番の特徴は、同社が空港で配布する無料のSIMカードだ。これまでにも同社は成田空港でSIMカードの配布を行ってきたが、9月1日からは新たに中部国際空港でも配布を開始した。
15日間有効のこのSIMカード、容量は500MBで、旅行者が自分の国であらかじめアプリをダウンロードしておけば誰でも利用することができる。追加料金を支払うことでデータ量の追加や期間延長も可能だ。
これは、空港についてすぐに交通情報などを調べる必要がある旅行者にとっては非常に嬉しい特典だろう。このSIMカードがアプリの集客のために一役買っているというわけだ。
ただ、加藤氏はサービスリリースの2017年1月から今までを振り返り、無料SIMカード配布にはなかなか苦労したと話す。
「SIM受取機といったハードウェアやアプリなどのソフトウェアも含め、開発着手から3ヶ月弱でリリースした。そのため、正直、不具合も色々とあった。最初の1ヶ月くらいは社員がシフトを組んで、土日も含めて成田空港のSIM受取機のまわりでひっそりとユーザーの様子を見守る、という状態だった」(加藤氏)
そんな苦労もありながら、WAmazingアプリはこれまでに約3万5000人のユーザーを獲得。そのうち実際に日本を訪れた(SIMを受け取った)のは1万2000人だ。
「無料SIMカードを受け取れるからといって、入国空港を変える人はいないと思う。そのため、設置空港を増やすことがそのままユーザー数の増加に直結する」とも加藤氏は話す。
また、WAmazingはアプリの配信国も広げていきたい構えだ。現在はインバウンド旅行者が多い香港と台湾に特化してアプリを開発しているが、今後はそれに加えて韓国、中国本土、タイにも拡大していくそうだ。早ければ年内にも中国本土への拡大を目指す。
2016年7月に創業のWAmazingは今回調達した資金を利用して、サービス拡大のための開発、人材確保を進めるとしている。
「今回の資金調達は、それぞれの戦略実行を高いクオリティで一気に推進していくための人材の採用やユーザー数を拡大するためのマーケティングアクセルを踏むために必須となる推進力となる。訪日外国人旅行者にワンストップで日本の魅力を堪能できるサービスを提供したい、そして、それにより観光産業を日本の基幹産業にしたい」(加藤氏)