熱を加えて狙った変形を起こすことのできる新しい4Dプリント技術

ジョージア工科大学の新しい研究成果は、形状変化3Dプリントに永続性を付け加えることを可能にする。関係者たちには一般に4Dプリントと呼ばれるこの技術は、プリントが終わったあとに形状が変化する物体をデザインすることによって、3Dプリントプロセスに別の次元を追加するものだ。

これまでハーバードやMITなどの研究機関によって研究されてきたほとんどのモデルは、このプロセスを処理するためにヒドロゲル(分散媒が水のゲル)に頼ってきた。この柔らかい素材はその機能をゆっくりと発揮して、そのプロセスが完了したときには元の形を留めていない。

ジョージア工科大学のチームが公開したビデオでは、ポリマーオブジェクトがドライヤーや熱湯などの熱源に触れた後、約5秒ほどで完了する変形の様子を、リアルタイムに見ることができる。

「通常はかなり時間のかかるものなのです」と、ジョージア工科大学の教授H. Jerry QiはTechCrunchに語った。「形状が変わるのを数時間待つ必要がありました。そしてヒドロゲルが柔らかいため、それらはとても柔らかいものになります。典型的には、皮膚よりも柔らかいものになります。これに対し、私たちの新しいアプローチでは、応答時間が非常に高速になりました。このビデオはリアルタイムです。形状変化はほぼ瞬時に起こります」。

ビデオはプロセスの多様性を示すために、8倍の大きさに展開される格子から、熱湯に浸されて閉じていく複雑でカラフルな花といったものまで、沢山の異なるオブジェクトを取り上げている。研究者たちはまた、プリントプロセス中に、最終的な物体の角度を決定することも実現できた。

「形状の変化は、プリントパラメータと、プリント構造と異なる素材を構造の中にどのように配置するかによって制御できます」とQi。「これが以前の研究から進化した点で、プロセスを大幅にシンプルなものにできました」。

現段階では、研究は研究室のクールなビデオの材料だったり、研究補助金申請のための素材に過ぎないが、将来的にはこのような変形物体は幅広い機器への応用が考えられる。例えば、体温に触れることで形状が変化する体内移植物体などの生物医学デバイスが、チームの脳裏に即座に浮かんだものだった。

また変形後の構造が永続性する性質は、消費者分野での魅力を広げる可能性もあるだろう。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。