モバイルがもっぱらタッチ方式になってから、QWERTY物理キーボードのファンはますます肩身が狭い。でも、指に触れるプラスチックキーの感触にこだわる少数派にとって、もうすぐ選択肢が一つ増える。BlackBerry Privが、合衆国とカナダとイギリスで予約販売を開始したのだ。発売は11月6日を予定している。
このハンドセットの定価は合衆国で700ドルだから、Androidスマートフォンのハイエンド(最高価格帯)に位置する。BlackBerryは、物理キーボードが購買動機になるような人びとは、それがなければ同じくハイエンド機Samsung Galaxyなどを買うような層だ、とねらいを定めている。
BlackBerryのCEO John Chenは先月、BNNに対して、スライダー方式のデバイスをデモしたとき、Androidを搭載したBlackBerryフォーンがもうすぐ出るという数々のリーク情報はみな正しい、と言った。当時の情報どおりこのデバイスは‘二兎を追う者は二兎を得る’*タイプで、キーボードとタッチスクリーンをひとつにまとめている。やや重いことと、小さなBlackBerryのロゴが気にならない人は、この二兎を追ってもよいだろう。〔*: 原文: the phone is a cake-and-eat it approach, with both keyboard and touchscreen in one package〕
やや厚くてやや重いことを、この製品は3410mAhというハイパワー電池を搭載することでつぐなっている。ただし昔のBlackBerryと違って、ユーザが電池を取り外すことはできない。
Privには、(たぶん)Samsungからお客を奪うための仕掛けもある: microSDカードのスロットがあるのでストレージを最大2TBまで拡張できるのだ。最近のSamsungは製品を薄くするためにmicroSDカードスロットをなくしているが、昔からのSamsungファンの一部は、それを喜んでいない。
この、BlackBerryの衣裳を着たAndroidフォーンには、同社独自のセキュリティ機能もある。それはDTEKと呼ばれるBlackBerryのアプリで、ユーザが使用するアプリのパーミッション(例: 位置情報へのアクセス)を個別に設定し、またその全容をチェックできる。
最近はSilent CircleのBlackphoneをはじめ、企業向けにセキュリティを強化したAndroid機が登場しているが、Privもその仲間入りをねらっている。たしかにAndroidフォーンは低価格志向で量を伸ばしてきたから、質の面で未開拓の分野があったと言える。
BlackBerryはまた、企業世界にはBlackBerryのブランドイメージが残っていることを、期待している。今や、iOSの人気は企業にも相当浸透しているから、厳しい戦いにはなるだろうけど。
いずれにせよPrivは、物理キーのある最新のスマートフォン、という希少種だ。古くからのBlackBerryユーザが、待ってましたとばかり飛びつくか、それはまだ分からない。しかしChenたちは、Privが良い賭けだと信じている。