現実世界の物理的なセキュリティを近代化するBase Operationsが2.3億円調達

テクノロジーとセキュリティの話になると、私たちはついサイバーセキュリティのことを思い浮かべてしまう。しかし、多国籍組織を有する大規模な国際的企業では、物理的なセキュリティも同様に重要だ。それは中堅から大手のほとんどの企業においてカギとなる要素だが、今日になってもなお、現代のテクノロジーを十分に活かしきれていない。そこに目をつけたのが、リスク管理のプロであるCory Siskind(コリー・シスキンド)氏が2018年に創設したスタートアップBase Operations(ベース・オぺレーションズ)だ。同社はつい先日、シード投資ラウンドを220万ドル(約2億3000万円)でクローズし、この資金で、ローンチしたての企業のセキュリティ業務を支援する路上の脅威マッピング・プラットフォームを強化する計画だ。

Good Growth Capitalが主導し、Magma Partners、First In Capital、Gaingels、First Round Capitalの創設者Howard Morgan(ハワード・モーガン)氏が参加した今回のラウンドによる資金は、まずは人材の雇用に使われる。先月、従業員を2倍に増やしたばかりのBase Operationsだが、今後もさらに人材を増やしていく予定でいる。また、同社製品の拡張と改良、世界各地の拠点作りにも役立てられる。私は、この資金調達に続く同社の計画、拡大する好機、画期的な方法による市場への貢献方法についてシスキンド氏に話を聞いた。

「Base Operationsで私たちが行っているのは、企業が安全に業務を続けられるようにMicro Intelligence(マイクロインテリジェンス)、つまり移動のセキュリティ、不動産およびサプライチェーンのセキュリティバケットなどにおける日常のさまざまなセキュリティ業務を円滑化するために、リアルな人の目線での脅威評価を行うプラットフォームを使って手助けすることです」とシスキンド氏は説明してくれた。「サイバー以外で、最高セキュリティ責任者が管轄するものすべてです。つまり、現実世界と関わりを持つあらゆるものです」。

シスキンド氏は、メキシコシティの世界的な戦略的リスクコンサルティング企業Control Risks(コントロール・リスクス)でキャリアをスタートさせて以来、企業のセキュリティにともなう複雑さや課題に直接関わってきた経歴を持つ。長年この業界で過ごしてきた彼女は、物理的、政治的なセキュリティの運用が、サーバーセキュリティと比べていかに立ち後れているかを痛感している。企業のリスク管理は軽視されがちだ。特に北米の企業に勤めるほとんどの従業員にとって、それは出張の多い職務に就いたときに、ときどき経験するだけに過ぎない問題だからだ。だが、この数年に起きた出来事で、状況は一変した。

「これが、これまでSaaSプラットフォームで最適化をしてこなかった企業の最後の砦だったため、抵抗もあり、昔ながらのやり方への執着もありました」とシスキンド氏は私に話した。「ところが2020年の出来事によって、すべてひっくり返ってしまいました。企業は、セキュリティ部門と、現実世界で起きていることが、単にコンプライアンスだけでは済まされないことに気づいたのです。ビジネスの継続性を担保してくれる、こうしたサービスに投資することが戦略的な優位性につながります」。

新型コロナウイルス、頻度も被害もますます増大する自然災害、地球規模の政治不安、2020年にはこれらすべてが世界中のビジネスに多大な悪影響をもたらした。それが分岐点となり、総合的なリスクプロファイルと戦略的計画サイクルにおける物理的セキュリティをどれほど重視するかで、企業の明暗が分かれたとシスキンド氏はいう。

「情勢があまりにも不安定で、あらゆる種類の問題が頻発する過酷な状況下では、事業を滞りなく継続するための投資を怠れば、必要な収益は絶対に得られなくなると企業は気づきました」と彼女は話す。

Base Operationsは、幅広い情報源からデータを収集し、うまく組み合わせて脅威プロファイルを提示することで、そうした問題に対処している。同社のテクノロジーは、つまりは我々が日々遭遇する無数の情報の意味を説明してくれるものだ。たとえばときにソーシャルメディアの「Doomscrolling(ドゥームスクローリング)」で目にするような大量のニュースを、機械学習により他の情報源と結びつけ、実用的な見識を生み出す。

そこで使われる情報源とは、「政府の統計資料、ソーシャルメディア、地元の報道、非営利団体や大学などの提携団体からのデータ」だとシスキンド氏はいう。そのデータセットが、同社のMicro Intelligenceプラットフォームに力を与えている。現在、同スタートアップは企業を助けて人々の安全を守り、その事業の継続を助けることに注力しているが、その同じ情報が、将来の地理的な拡張計画、製品開発の調整、特定市場への対応など、あらゆる事業にも力を与えるであろうことは容易に想像がつく。

ビジネスの本質部分には、この種のアプローチが必要だとシスキンド氏は考えていたのだが、そこは新しいテクノロジーの受け入れが比較的遅かった。大きな視野を持つ彼女でさえ、これほどまでに緊急に、高度で柔軟なスケール性のある企業向けセキュリティソリューションが必要になると、2年前には予想もつかなかったはずだ。だが今、Base Operationsはそのニーズに対応できる完ぺきな位置に立っている。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Base Operations資金調達

画像クレジット:AerialPerspective Images / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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