Blue Apronには息をつく暇もないようだ。食品通販サービスを提供する同社の株価は6月下旬のIPO時点から半分近く下がり、訴訟問題にまで発展しようとしている。
現在複数の弁護士事務所が集団訴訟の準備を進めており、彼らはBlue Apronが株価に影響を及ぼす重要な情報を開示していなかったと主張しているのだ。
具体的な内容としては、顧客維持、配送遅延、広告費の削減が焦点となっている。現地の法律事務所Bragar Eagel and Squireの主張は次の通りだ。「1)Blue Apronは2017年Q2に広告費を大幅に削減し、将来的な売上・利益をないがしろにした 2)Blue Apronは食材セットまたは一部食材の配送遅延で顧客維持に難航していた 3)ニュージャージー州リンデンに新しく設立された工場の稼働状況に問題があり2017年Q2にも配送遅延が発生していた」
Bottini & Bottiniという別の法律事務所も同様の内容で訴訟手続きを行った。こちらの原告はRustem Nurlybayevとなっており、以前Alibabaを訴えたのと同じチームのようだ。
先述の事務所以外にも同じ内容の申し立てをしているところがいくつかあり、Googleで検索するとかなり数のウェブサイトがヒットする。
Blue Apronに近い情報筋によれば、まだ原告を募集しているものもあるという。
先述の問題に加え、Blue Apronが上場する数週間前にWhole Foodsの買収を発表したAmazonの存在も、株価の急落に大きく関係していると言われている。買収発表後、多くのメディアがAmazonの食品通販サービスへの参入可能性について報じていた。そういう意味では、IPO時に株を購入した投資家は、少なくともAmazonの動きによる株価下落の可能性については事前に把握できていた。
業績の思わしくない企業が株主から訴えられるというのは珍しいわけではない。英語では”stock-drop challenges(=株価下落に伴う困難)”という呼び名がついているくらいだ。2012年に上場したFacebookも、IPO後に連日株価が下がったことを背景に訴訟問題を抱えていた(結局その後同社の株価は爆発的に上昇した)。最近で言えば、Snapの株主も同社がSnapchatのユーザー数を偽って公表していたと訴えていた。ロサンゼルス連邦地方裁判所に訴状が提出された本件では、Snapがユーザー数を偽ったことで株価が下落したという主張のもと、賠償金とクラスアクションの認定が求められている。
「このように、株価が下がるとすぐに弁護士が出てくる」とIPO ETFを運用しているRenaissance Capital社長のKathleen Smithは語る。
さらにSmithは、このような問題を「株主による抵抗」と呼び、通常和解に至るケースが多いと話す。原告が勝訴するためには、企業が重要な情報を偽り、かつ原告がそれを信用して株式を取得したと証明しなければならず、実証が難しいことがその理由だ。
[原文へ]
(翻訳:Atsushi Yukutake)