米アップルが、デンマークのマシンラーニング関連スタートアップSpektralを買収したと発表しました。Spektralは以前はCloudCutoutと呼ばれていた企業で、リアルタイム映像編集を得意分野に含みます。
CloudCutoutの名前はそのままSpektralが持つ技術も表しています。それはマシンラーニングとスペクトルグラフ理論、リアルタイム映像編集を組み合わせ、近年の強力なGPUを備えるスマートフォンのカメラで捉えた映像からリアルタイム(60fps)で人物のみを切り出すことを可能とします。
従来この手の処理は手間のかかる編集作業が必要でしたが、Spektralの技術なら単純なコマンドだけで実行できてしまうとのこと。この技術の応用先として簡単に思いつくのは、たとえばFaceTimeやミー文字などで背景を別のものに置き換えるAR機能の適用や、iPhoneとヘッドセットと組み合わせた本格的なAR開発などにも応用できそうです。
アップルはここ数年AR技術に力を入れており、この6月のWWDCではiOS 12に搭載するARKit 2にAR専用3DファイルフォーマットUSDZを採用することを大々的に発表しています。
2017年には、アップルが2020年にARヘッドセットを発売する計画だと報じられました。その後ARKitの開発は活発化しており、2017年にドイツのアイトラッキング技術企業SensoMotoric Instruments(SMI)を買収、さらに2018年8月にはARヘッドセット用レンズ開発メーカーのAkonia買収も伝えられました。Spektralの買収は、やはりアップル製ARヘッドセットの開発体制が着実に強化されていると見て良さそうです。
ちなみに、アップルがSpektralの買収を完了したのは2017年末のこと。順番で言えばAkoniaよりも前ですが、なぜかデンマークのBørsen紙が報じるまではまったく知られていませんでした。
Engadget 日本版からの転載。