社会意識の高いLAのフィンテック「Aspiration」がカーボンオフセット・クレジットカードを発行

Aspiration(アスピレーション)は、社会意識の高い消費者のための金融サービス会社だ。このほど環境に優しい商品をラインアップに加えた。それはクレジットカードだ。

ロサンゼルスを拠点とするこのスタートアップは、これまでに約2億5000万ドル(約272億4000万円)の資金を調達しており、出資者にはLeonardo DiCaprio(レオナルド・デカプリオ)氏、Robert Downey Jr.(ロバート・ダウニー・Jr.)氏のFootprint Coalition、Orlando Bloom(オーランド・ブルーム)氏といった著名人に加え、伝統的機関投資家のAlphaEdison、Capricorn Investment Groupt、Omidyar Network、Allen & Co.などがいる。カードの利用条件や限度額については明らかにされていない。

Aspirationの共同ファウンダーでCEOのAndrei Cherny(アンドレイ・チャーニー)氏が強調したのは、この新商品の重要性に関する会社の気持ちだ。

「マイルを貯められるクレジットカードは山ほどあります。これは、地球のマイレージを減らす唯一のカードです」とチャーニー氏が声明で語った。「史上初めて、気候変動と戦うツールを財布に入れることができるようになりました」。

Aspirationのカーボンオフセットサービスは、植林活動に他ならない。これは米国における日常生活に関わる温室効果ガス排出を、消費者がゆくゆく相殺するための最も簡単な方法だ。

このカードが使われる度に、Aspirationは同社の全世界の森林再生パートナーに依頼して木を植える。カード保有者がAspirationのクレジットカードを60回使えば、その結果植えられる樹木で米国の平均的世帯の炭素排出量を相殺できる。

「私たちがやっていることは平均的米国人の炭素排出量に基づいています」とチャーニー氏は説明した。「あなたが買い物をするたびに、Aspirationはあなたの木を植えます。計算どおりにいけば、あなたの植えた60本の木が炭素排出に与える影響は、米国の平均的世帯の炭素排出を消し去ります」。

Aspirationのアプリには、利用者の購買行動が社会に与える影響を測るツール群が搭載されていて、クレジットカード利用者は自分の排出量を相殺する進展状況を追跡することができる。炭素ゼロを達成した月には、Aspirationがカード購入金額の1%をキャッシュバックする特典がある。

チャーニー氏によると、会社は認可を受けたパートナーの協力を得て、衛星写真と現地でのモニタリングを使って植林プロジェクトが計画通り進められ、樹木が伐採されていないことを確認している。

同社は企業責任のためだけにこれをやっているわけではない。樹木の栽培が企業にとって(たとえ少額)収益事業になる取引事例が実際にはある。

「そこまでの規模に達した時」とチャーニー氏は言った。「私たちは非営利ではなく、地球を救うことに専念する営利企業になります。人々が地球を救うことで利益を得ることを、地球を破壊することで利益を上げてきたのと同じようにできるようになるまで、問題は続きます【略】もし、石油会社や既存の銀行が、地球を破壊することでしか金儲けができないのなら、地球は危機的状況です」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Aspirationカーボンオフセット

画像クレジット:Aspiration

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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